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徒然日記 - 図書館カテゴリのエントリ

少し紹介するのが遅くなったが、10月25日(日)付けの日本経済新聞「かれんとスコープ」は、「マイクロ図書館寄っといで」と題する記事だった。

「人口減少などを背景に書店や公共図書館が減少する中、私設図書館『マイクロ・ライブラリー』が増えている。本を置くだけでなく本を介した交流の拠点にもなっているようだ。」
ということで紹介されているのが、神戸市東灘区の岡本商店街のカフェや雑貨店にある「まちライブラリー」。それぞれの店が棚を設けて数十冊の本を置いているとのこと。
設置のきっかけになったのは、地域にあった東灘図書館の移転だったとのことで、2014年に16店でスタートし、今は22店に拡大しているとか。

「まちライブラリー」については、公式サイトをご覧いただくとして、記事によれば、北海道から九州まで、個人の家、大学、企業、病院、お寺など場所も規模も様々に約220ヶ所あるのだとか。

「まちライブラリー」提唱者の森記念財団の碓井純充・普及啓発部長によれば、「まちライブラリーを含むマイクロ・ライブラリーが全国に1千ヶ所ほどあると推定」され、「こうした図書館があと9,000増えて緩やかにつながれば大きな力になる」という。

記事では、「学校にも広がり始めた。」として兵庫県姫路市の手柄小学校の例を紹介しているが、廊下にある棚に本を置くなんて取り組みは昔からあったような気がする。
「(子ども達が)本を持ち寄り感想を交換する」って所が新しいのかな?

前述の碓井氏は、「マイクロ・ライブラリーは人々が緩やかにつながって信頼しあえるソーシャルキャピタル(社会関係資本)を生み出す場になる」と見ているらしいが、それは、「人に薦めたい本を感想つきで寄託し、読んだ人がさらに感想を残して交流する」まちライブラリーの特徴が背景にあるからであり、マイクロ・ライブラリー全てがそうなる訳ではないと思う。

ただ、街中から書店や図書館が消えている現状にあって、商店街などにマイクロ・ライブラリーという形で再び本を取り戻す試みは、人の流れを取り戻すという意味でも面白いと思っている。そのあたりのことについては、明日にでもまた書いてみよう。

ところで、上記記事にマイクロ・ライブラリーのタイプ分けが出ていて面白かったので採録。
タイプ事  例
(1)図書館機能優先型わたしの図書館ミルキーウェイ(和歌山市)もものこぶんこ(大阪市)
(2)テーマ目的指向型少女まんが館(東京都あきる野市)古賀河川図書館(福岡県久留米市)
(3)場の活用型にんげん図書館(名古屋市)GACCOH(京都市)
(4)公共図書館連携型おぶせまちじゅう図書館(長野県小布施町)恵庭まちじゅう図書館(北海道恵庭市)
(5)コミュニティー連携型まちライブラリー(全国に約220ヶ所)
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 図書館で仕事したくて大学卒業してから宮崎に戻って、早くも30年が過ぎてしまった。この間、3年間だけ県立図書館で働いたことがあるけど、それ以外は図書館とは縁の無い職場ばかりを巡っている。

 それでも、図書館は自分のバックボーンだしアイデンティティであり、図書館に関わることが自分のライフワークだと公言し続けてきたら、面白いと思ってもらえる人も出てきて、なんとなく「図書館作りましょうよ!」なんて話も出るようになってきた。

 図書館サービスは公共セクターが担うべきだとは思うけど、地方自治体の財政も疲弊している状況で、宮崎市内で公共図書館のサービス拠点を増やすことはかなり難しいのは間違いない。
 それでも、これまた疲弊している中心市街地に人を呼び込む仕掛けとして、図書館サービスが役に立つであろうことも間違いのないことのように思えるので、なんとかできたらいいなというのは、ずっと考えていた。

 そんなこんなを考えているところに、某所で小さな図書館みたいなものを作ってみないかという話が出てきて、図書館サービスを提供するには十分な条件ではないにしても、そういうお話をいただけることは、今動けということだなと思い、チャレンジしてみることにした。

 そう、宮崎を日本一チャレンジしやすい県にするチャレンジを支援していることでもあるしね。



 マイクロ・ライブラリーには手持ちの蔵書を供出することにしたので、供出する本にまずは蔵書印を押印。



 カバーがかかっている本は、カバーがはずれないようにメンディングテープで留める。



 帯のある本については、帯も貴重な書誌情報のひとつなので、必要な部分を切り取って、これまたメンディングテープで邪魔にならないように貼り付ける。

 後は、小口(天)にも所蔵印を押すだけ。これは、ゴム印を発注しているので、届くのを待っている。



 貸出することも考えているので、資料の管理には「リブライズ」を使うことにした。
 これを使えば、「ブックスポット」を設置して、本のISBNを入力するだけでそこに資料を登録することができる。
 また、Facebookのユーザーであることが条件だけど、スマホを図書カード代わりにして個人に貸し出しすることも可能になる。
 図書館システムとして考えた場合には、書誌情報の管理などまだ不十分なことも多いけど、マイクロ・ライブラリーとしてスモールスタートするには便利なサービスで、いろんな可能性が考えられる。

 そうそう、このために、バーコードリーダーを買いました。
USB接続のCCDタイプがリブライズのお薦めとあったので、ググって探した結果、Amazonで一番安価に入手できそうだったHanwhaのUMA-BR-02を購入。送料込みで3,190円。
 バーコードリーダー無くてもISBN手打ちすれば入力はできそうだけど、13桁の数字を間違いなく手打ちするのは結構面倒なので、バーコードリーダーあった方が絶対に楽。さくさく入力できる。
 このスキャナをPCに繋ぎ、Webブラウザに「リブライズ」が表示された状態で装備ができた本のISBN部分のバーコードを読み込むと、自動的に表紙の書影のついた書誌データ(署名、著者名、出版者、ISBN)を登録してくれる。



 という感じで、現在、鋭意準備中。
 最初は本当に50冊程度くらいからスモールスタートするけど、反応見ながら拡大できるといいなと考えている。
 正式にローンチできたら案内するので、乞うご期待!、
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『つながる図書館』

カテゴリ : 
図書館
執筆 : 
Dice 2014-3-16 22:45
 先日の大阪への旅のお供として持って行ったのが、猪谷千香著『つながる図書館−コミュニティの核をめざす試み』(ちくま新書)。図書館界では話題の新刊だ。

 武蔵野プレイス、千代田区立千代田図書館、小布施町まちとしょテラソ、島根県立図書館、武雄市図書館、伊万里市民図書館など、現在、注目を浴びた活動を行っている図書館を取り上げつつ、戦後の日本の図書館が利用者や貸出数を伸ばす活動をするところから始まり、「無料貸本屋」批判を乗り越えて、ビジネス支援など改題解決型図書館、地域を支える情報拠点としてその姿を変えようとしているという大きな流れが、うまくまとめられている。
 『市民の図書館』や『図書館の自由に関する宣言』といった、図書館員としては必須の歴史的アイコンもしっかり押さえながら、図書館についてよく知らない人にもわかりやすく、その歴史と現状が描かれている。
 更に、神奈川県立図書館問題や指定管理の問題などの現代的課題、デジタルアーカイブなどの新しい動き、公立でも私立でもない新しい公共図書館のあり方などにも言及され、図書館教育の入門書としてもお薦めできる。多くの人に読んで欲しい一冊である。

 これ読むと、佐賀県内にある武雄市図書館と伊万里市民図書館の二つを訪問したくなる。見学ツアー組みたいな。誰か一緒に行かないかな。一泊二日、温泉宿つきで。
 実際に、今月発売の『本の雑誌 ぶっつけ旅はるばる号』では、「おじさん三人組、武雄市図書館に行く!」という二つの図書館の訪問記が掲載されている。素直な感想がわかるので、これも併せて読んでいただきたい。

 また、千葉県船橋市の「ふなばし駅前図書館」を運営するNPO法人「情報ステーション」の手法は、宮崎市の中心市街地の活性化のためにも使えるのではないかと思ったりする。これも、今後要チェックだな。
 中心市街地の図書館による活性化手法、ちょっとまじめに考えてみようと思う。

 兎にも角にも、久しぶりに刺激を受けた一冊でした。☆☆☆☆☆。
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地平忌

カテゴリ : 
図書館
執筆 : 
Dice 2014-2-25 23:31
 明日2月26日は何の日かと聞かれて、「二二六事件」の日と答えられる人も少なくなってきているのではないかと思うが、私にとってこの日は「地平忌」、中村地平の命日として強く記憶されている。
 中村地平って誰?という人は、ググってWikipediaでも確認して欲しいが、Wikipediaの記述も全てが正しいとは限らないので、宮崎県庁のサイトの中にある「みやざきの101人」へのリンクも貼っておく。

中村地平-Wikipedia

中村地平-みやざきの101人

 読んでいただけただろうか?。小説家としての名声は、残念ながら井伏門下の三羽烏として並び称された太宰治には及ばないものの、戦後宮崎の文化の振興に極めて大きな役割を果たした人物であり、多方面での活躍の中でも、私は特に1947(昭和22)年から1957(昭和32)年までの宮崎県立図書館長としての功績を高く評価している。

 日本十進分類法による図書の整理、増改築に伴う文化ホールの新設、臨海文庫・農村文庫などの貸出文庫や自動車文庫「やまびこ」の開設、参考係の新設など、今につながる図書館サービスが確立されたのは、この中村館長の時代であり、今は絶えてしまっているが、図書館に専門職である司書を積極的に採用したのもこの時代であった。

 館長を辞した後、父親の後を継いで宮崎相互銀行(現・宮崎太陽銀行)の社長を務めたが、その一年後には体調を崩し、1963年2月26日に心臓麻痺のために没。宮崎にしては珍しく雪の降る日であったという。

 「地平忌」はその中村地平を惜しんで設けられたが、毎年2月26日ではなくて、その前後の土曜日に宮崎市・市民の森にある記念碑の前で行われていたと記憶していたので、最近はどのようになっているのかを知りたくてWebを渉猟してみたけど、よくわからなかった。
 その過程で2008(平成20)年11月1日(土)に宮崎県立図書館で「中村地平生誕百年記念講演会」が開催され、当時を知る元図書館職員によって「県立図書館長中村地平について」という座談会が行われたという情報を得たので、その記録が残っていないか県立図書館に問い合わせてみたが、残念ながら無いという回答だった。
 自らの栄光の時代の記憶を記録に残す折角のチャンスだったはずなのに、その意識が当時の図書館になかったことは実に残念。
 主催した岡林稔先生に問い合わせするしかないのかな。

 ともあれ明日は、偉大なる図書館の先輩に想いを馳せ、我が身を戒めることとしよう。
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『夜明けの図書館』

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図書館
執筆 : 
Dice 2014-2-16 0:10
 今回のお勧め本は、埜納タオ著『夜明けの図書館』(ジュールコミックス)
 初出が『JOURすてきな主婦たち』ということで、いわゆるレディコミ。完全に射程外、ノーマークだったが、Facebookつながりでレンジに入ってきた。Facebook素晴らしい。

 舞台は架空の暁月市立図書館。主人公は、葵ひなこ、25歳。3年の就職浪人の末に、ようやく採用された新米司書。
 同僚で庶務経理担当の大野晧(27歳)は、一般行政職員で図書館勤務3年目。司書ではないが、返却本の配架や破損本の修理、書架の整理、時にはクレーム処理まで何でもこなす。
 この二人を中心に、図書館でのレファレンス案件が、相談者の背景、資料の見つけ方などを織り交ぜながら展開される。
 1話読み切りの形で計4話、いずれもなかなか面白い。

 たかがレディコミと馬鹿にするなかれ。現役の図書館司書に取材したり、作者がレファレンス講座に参加するなどして、図書館で働く司書の姿とレファレンスの実態がしっかりと描かれている。

 これは、図書館サービスの一端をわかりやすく解説する入門書として、すごくいい。司書としての仕事の喜びみたいなものを伝えてくれる。
 高校の図書館とか市町村立図書館のYAコーナーには是非とも置いてほしいな。

 2巻目も刊行されているので、早速購入しなきゃ。できれば、これを原作にドラマ化希望。
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『本と人をつなぐ図書館員』

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図書館
執筆 : 
Dice 2013-6-2 22:09
 5月末に浦安の家族宅に行った際に、飛行機の中で読了したのが、山内薫著 『本と人をつなぐ図書館員 −障害のある人、赤ちゃんから高齢者まで』 (読書工房)

 図書館の利用に障害のある人々への資料提供サービスを中心に、著者が行ってきた実践が綴られているのだが、正直言って「ここまでやるのか!」という驚きが最初にあった。
 なぜ驚くかと言うと、そのサービスが半端ではないからだ。

 第1章の冒頭に例示として出てくる「ひろみさん」は、筑波に住んでいる重度な肢体不自由のある女性なのだが、著者の山内さんは、1969年に墨田区立あずま図書館で図書館員としてのキャリアをスタートさせ、障害者サービスを柱としつつも、児童サービスなどあらゆる墨田区の図書館サービスの推進を現場で支えて来られた方である。
 墨田区の著者が、自分の務める図書館のサービスエリアの外、筑波に住む彼女が利用できそうな録音図書テープを送り、旅行のついでに会いに行き、その後も手紙のやり取りを続けながら、彼女が聞きたい内容の録音図書テープを探し、送り届けるのだ。

 また、その次に出てくる「大樹くん」は、生まれた時から視力に障害がある二歳児。
 彼と著者が出会ったのは、障害児をもつ親の会の集まりの場で、最初は図書館にある『さわる絵本』や『布の絵本』の利用を勧めるのだが、彼が保育園に入るようになると、保育園の保育士さん向けに展示の勉強会を開いたり、持ち物に展示のシールを貼るなどの環境作りを手伝う。
 そして、小学校に上がる段階になると、彼に点字を教えるためのプロジェクトチームを結成し、図書館をベースに点字教室を始めるのだ。

 この冒頭の2例だけでぶっ飛ぶ!。ここに書かれたサービスは、私の知る図書館のサービスの限界を遙かに超えている。
 行政のエリアも、部署云々といった管轄も飛び越えて、真っ直ぐに利用者を見ている。
 そんなできるとは思わなかったし、やっていいとも思わなかった。いや、考えることすらしなかったと言って良いだろう。
 でも、実際にやってのけた図書館員がいて、その図書館のサービスを受けて育った利用者がいるのだ。

 「おわりに」で著者は言う。
 「図書館利用に障害のある人たちとの出会いは、その都度『図書館とは何をするところか』『図書館に何ができるのか』ということを考えさせられる契機となってきた」と。
 「多くの利用者の方にさまざまなことを学ばせていただき、育てていただいた」と。

 司書資格を持ちながらも現場経験の殆ど無い私は、「障害者サービス」とか「アウトリーチ」とか、言葉は知っていても、その実践については何も知らないでいたことを、本書は教えてくれた。
 はっきり言って甘かったです。反省します。

 まだまだ図書館にできることはあり、そのためには、何よりも「人」(利用者)を見てそれに合ったサービスを考える集団としての「職員」が必要であることもまた本書は教えてくれた。
 それは、図書館での仕事に限らず、あらゆる職場で応用できそうである。
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2012(平成24)年度の宮崎県立図書館

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図書館
執筆 : 
Dice 2012-12-9 20:48
 「図書館関連論考」に「2012(平成24)年度の宮崎県立図書館」を掲載。

 『図書館雑誌』2012年8月号(Vol106, No.8 pp560〜562)に掲載された『日本の図書館』2012年調査の都道府県立図書館に関する速報データを基に、全国の都道府県立図書館の現況と、特にその中で宮崎県立図書館の占める位置、数字から読み取れる課題等について分析を加えたもの。2001(平成13)年以来、実に11年ぶりの分析となった。

 本当はもっと早く掲載する予定だったのだが、なかなかまとめきれずに遅くなってしまった。なんとか越年せずに済んで一安心
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【本の雑誌】図書館とベストセラー

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図書館
執筆 : 
Dice 2012-11-24 0:10
 『本の雑誌』2012年12月号の大井潤太郎氏のコラム「薔薇の木に、薔薇の花咲く」は、「図書館とベストセラー」がテーマ。
 冒頭、ちょっと長くなるが引用する。

「 論創社の森下紀夫さんは図書館の状況に対して、悲鳴を上げるように発言している。公共図書館が3082館、大学図書館が1645館、合計すると4736館もあるのに、どうして人文、社会科学の初版千部が売れないのか。いくつもの新聞書評が出ても、その千部、千五百部が売れず、重版もできない。一体何を基準にして選書しているのか(「出版業界の危機と社会構造」)。」


 で、これに続いて、いつもながらのベストセラーの複本問題が指摘されているが、これについては語り尽くされている感もあるので、ここには突っ込まない。

 良心的な出版社が、世のため人のために役立つことを願って、懸命な努力で本を出そうとしていることは理解できる。できることなら、図書館はそうした出版を下支えする存在であるべきだと思う。

 しかし、だ。市町村立図書館の現状を考えると、現実に買えるのか?という問題になる。

 日本著書販促センターのデータによると、2010年の新刊書籍の刊行点数は74,714冊、平均価格は1,126円となっている。
 一方、日本図書館協会が公表しているデータによると、2011年の市立図書館2,540館と町村立図書館588館の図書費の合計は201億1,448万円なので、1館当たりの平均は約643万円となる。
 これを上記の平均単価で割れば、1館当たり年間に購入できる新刊図書の数は5,710冊となる。年間に出版されている新刊の1割も買えないのだ。

 それで、公共図書館の蔵書構成を考えると、どうしても文学が多くなりがちだから、社会科学系の書籍に振り分けられる予算は10%にも満たない訳で、年間500冊も買えれば相当に多い方ということになる。
 更にこの500冊の中には、一般的にビジネス書と呼ばれる書籍もかなり含まれるし、社会科学と一口に言っても結構幅広いので、専門的な書籍の購入はますます少なくなってしまう。

 単純に考えると、大学図書館も含めて3館に1館が購入できれば、初版1,500冊は難なく売り捌けるはずなのだが、そのためには大多数の図書館が、年間1万冊以上の新刊書が買える予算を持たなければならないだろう。
 ベストセラーを買っているから社会科学の専門書が買えないのではないのだ。「もっと資料費を!」と、図書館の現場は思っているはずだ。

 あと、出版社側の熱意が、顧客である図書館の側にきちんと届いているのか?、という疑問もある。
 1,500部を図書館に買って貰うための営業をこまめにやっている出版社はどれほどあるのだろうか?。
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【日経】図書館の貸出数最多5.4冊

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図書館
執筆 : 
Dice 2012-11-2 18:21
 11月1日(木)付け日本経済新聞の社会面(42面)に、「図書館の貸出数最多5.4冊」と題する記事掲載。
 10月31日に公表された「文部科学省の社会教育調査(中間報告)」の内容を伝えるもので、2010年度に全国の公共図書館(3,274館)が貸し出した本が、国民1人当たり5.4冊となり、過去最高を更新したとのこと。
 この数字には、東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県は貸出冊数などの調査は対象外とされているとのことなので、実際には伸びはもう少し大きいのかもしれない。
 増加の要因として同省は、
  • 団塊世代の大量退職が始まり、空いた時間に本を読んで過ごす人が増えた。
  • 1回あたりの貸出冊数の上限緩和や閉館時間を遅らせるなどサービス向上に力を入れる図書館が増えている。
という2点をあげている。

 なお、図書館数は3年前の前回調査に比べて109館増加、貸出冊数は延べ6億6千万冊で5.0%増加、国民1人当たりでも0.5冊の増加、本を借りた人は延べ1億8千万人で6.5%増加で、いずれも過去最高を更新。国民全員が年に1.5回ずつ図書館で本を借りた計算になるとのこと。


 実はこの調査では、博物館や文化会館、社会体育施設など他の社会教育施設についても職員数や利用度などについて数字があるのだが、記事では触れられていないのは、図書館がそれだけ身近な施設になっていることの証左なのかもしれない。
 他の施設の数字についてここでは詳述しないが、上記で文部省のサイトにリンクを貼っているので、興味ある方はご覧いただきたい。
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【産経新聞】図書館への民間参入

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図書館
執筆 : 
Dice 2012-10-22 18:29
 今朝出勤したら、10月19日(金)付け産経新聞の6〜7面の「オピニオン」欄を職場の若い同僚が切り抜いて机の上に置いてくれていた。テーマは「図書館の民間参入」。

 記事の発端は、佐賀県武雄市の市立図書館でCCCへの事業委託が始まることになり、「本を貸し出し際に買い物に使えるポイントを付与するサービスの導入の是非などが議論となっており、公立図書館の民間への運営委託のあり方が改めて注目されている。」ということらしい。

 6面に掲載されている「金曜討論」は、このテーマについて、と東洋大学経済学部の山田肇教授と関東学院大学文学部の山本宏義教授へのインタビュー。
 山田氏は、MIT大学院、NTTを経て現職で、情報アクセシビリティや情報メディアの経済学及び技術経営などが専門分野で、どちらかというと民営化に対し慎重な立場。
 一方の山本氏は相模原市立図書館長、広島市立中央図書館長を歴任し、日本図書館協会の理事も務めるなど、どちらかというと民営化に積極的な立場。

 まず、山田氏へのインタビューでは、(注:一部、引用者による要約あり)

Q: 民間企業に運営を委託する公立図書館は、全国3,190館のうち約9%を占めるが、数年間と限定的な指定期間での図書館運営に問題はないか?。

A: 指定管理者制度の期間終了後に、企業側の意向で契約を更新できない場合もあるだろうが、そのリスクも含めて自治体が考えた上で民間に委託すべき。


Q: 貸出履歴など利用情報の収集と商業目的での活用が許されるかも論点

A: 年齢、性別、借りた本というように匿名化されて個人が特定できない情報であれば、個人情報保護法の対象には当たらない。
 そのような利用傾向などの抽象的な情報であれば、委託を受けた民間企業が図書館の運営に活用するほか、図書館と関係ない営利事業への活用も問題ない。
 また、図書館の運営に参画する企業もそうしたメリットに期待しているはずだ。


Q: 佐賀県武雄市の図書館での貸し出しの際にCCCの「Tカード」を利用し、ポイントの付与を受けられるサービスの導入について、営利企業のシステムを取り入れるべきではないと日本文芸家協会などから反対の声が出ている。

A: ポイントは無人の貸出機を使って本を借りた場合に付与される。人件費削減のために、無人貸出機の利用に誘導する仕組みで、合理的なアイディアだと思う。
 また、『Tカード』を使うか、従来型の図書館利用のカードを使うかは、利用者が選択できる仕組みになっているので、サービスを受けたい人が選べばよい。
 1回の利用で得られるポイントはわずかなため、射幸心をあおることもない。


Q: 民間企業に委託することが図書館のサービスの質の低下につながるという意見もある。

A:何か明確な根拠があっての意見ではない。むしろ民間企業の手法を取り入れることで、便利になる可能性は大きい。
 貸し出し履歴を記録し、その利用者が興味を持ちそうな他の本を提示する『リコメンド機能』も民間では一般的なサービスだが、希望者を対象に導入すれば便利だろう。


Q: 図書館を運営する上で何を重視すべきか。

A: 利用者の個別ニーズに柔軟に対応し、利便性の向上を図ることが大切。  『個人情報の保護』をという言葉を盾に、硬直的な一律のサービスしか受けられないのは良くない。


 「Tカード」の部分、無人貸出機への誘導のインセンティブのためにポイントを付けるというのであれば、2種類のカードを併用し、カードの違いによって受けられるサービス(ポイント)が違うというのは問題ありなのでは、という突っ込みが欲しかったな。

 一方の山本氏へのインタビューは、

Q: 公立図書館の民営化についてどう考えるか。

A: 民間企業に運営を委託する公立図書館は増加傾向にある。
 しかし、利益を上げることを本来の目的とする民間企業と、非営利の図書館の運営とは、なじまないのではないか。
 書籍や資料など人類の知的遺産を永続的に集積、提供し、住民や研究者が触れられるようにするのが図書館の役割。数年間の計画はもちろん、同時に数十年単位で運営を考えて行く必要があるが、民間企業ではそれが難しい所がある。


Q: 利用者が専用のカードとCCCの「Tカード」から選択し、Tカード利用者には貸し出し時に買い物に使えるポイントを付与するサービスが導入されるが、その是非が議論されている。

A: 好ましくないと思う。買い物に使えるということで、結果的に射幸心をあおることにつながる可能性は否定できない。喜ぶ人もいるだろうが、図書館の本来的な役割や機能から考えると疑問が残る。
 こうしたサービスが一度始まると、今後、他の民間運営の図書館で同様のサービスが増え、ポイントの付き方がエスカレートしていく懸念もある。


Q: 民間企業への運営委託は、サービス向上に加えて、人件費などのコスト削減につながる期待がある。

A: コスト削減を第一の目標にしてしまうと、サービスの悪化につながることが多いので反対だ。
 千代田区立図書館(東京都)は、平成19年から民間企業が運営することになったが、コスト削減ではなく、開館時間の延長や情報発信の強化などサービスの充実を目的にしている。その結果、運営費は減っていないが、利用者数は大幅に増えた。永続的な運営という観点で課題は残るが、民間への委託が成功した好例だろう。


Q: 武雄市の市立図書館でも開館時間が午前9時から午後9時までと4時間増える。

A: 千代田区立図書館は午後10時まで開いているが、自宅が都心から遠く、帰宅時に地元の図書館が閉まっている会社員らのニーズが強い。
 武雄市の場合、県外の利用者が少ないと考えられ、大きなメリットがあるのか疑問が残る。


Q: 公立図書館は直接自治体が運営すべきか。

A: 自治体が直営し、サービスの向上を図るのが本来的には望ましい。民間委託をする場合も、丸投げを避けて運営をしっかりとみていくべきだ。
 図書館の公共性を厳密に捉え、利用者の承諾があっても貸し出し情報など個人情報の商業利用を許すべきでない。


 この「金曜討論」と見開きで7面に配された「eアンケート 私も言いたい」では、「図書館の民間参入」について、紙面に掲載された項目に対して寄せられた読者の意見を紹介している。回答者は、505人(男性380人、女性125人) 。
 まず、大勢として、
(1)公立図書館の運営は改善が必要か
YES: 84%NO: 16%
(2)民間企業への事業委託を進めていくべきか
YES: 48%NO: 52%
(3)ポイントサービスを導入するのは適切か
YES: 31%NO: 69%

 ポイントサービスに対する反対意見が多いのは、やや意外。このアンケートに回答した読者は、図書館サービスに関心が深い層と考えられるが、そうした層にはポイントサービスは馴染まないということか。


 以下、自由記述の中から目についたものを拾うと、
「平日昼間はそもそも納税者たるサラリーマンが利用できない。(遅くまでやらないのは)納得いかない」(東京・男性会社員(52)
「その道のプロが参入できるという意味で、民間参入の動きに賛成する。公務員だから公立図書館の運営を行うというのは意味がない」(千葉・男性会社員(49))

「今の公共図書館には当然改善が必要だ。行政が図書館にあまりにも無関心で、司書の専門性も生かし切れていない」(長野・女性公務員(30))

「完全に民営、営利目的にしてしまったら、人気作家や流行に主眼が置かれ、蔵書の質の低下が起こる」(メキシコ在住・男性会社員(57))

「なんでも民間に丸投げすれば健全化するというものではないだろう。行政で運営すべき事業というものがあるし、そうでなければ政府なんてものはいらない」(石川・男性自営業(40))

「公共サービスは、ある程度の品質と安定性が第一に保たれるべきだ。民間への事業委託は、もうけ主義的発想などによるサービスの質の低下を引き起こしかねない」(兵庫・女性パート(34))


 開館時間も含めて、これまでの図書館サービスが利用者のニーズとうまくマッチしてこなかったのは確かだが、自治体の財政状況が悪化する一方の中、直営という運営方式によるサービスの硬直化やコスト高があることも事実。
 それを解消するための手法のひとつが「指定管理者制度」なのだが、そもそも管理委託する場合の仕様を決め、その運用を管理するのは行政の側なので、山本氏の言うように「丸投げを避けて運営をしっかりみていくべき」なのは当たり前。
 運営を引き受ける民間側が、司書の採用や研修をしっかり行い、複数の館の運営を受け持つことによって職員の異動、キャリアアップなども行えるのであれば、職員の専門性も確保されたまま、直営以上のサービスを行うことは可能だろう。そのために民間側に与えるメリットをどこまで許容するかどうかなのだと思う。
 個人的には、図書館の利用にポイントなど必要ないし、そのためにかけるシステム回収のコストや手間を考えれば、その分は少しでも資料の充実に回して欲しいと思う。
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