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徒然日記 - 読書カテゴリのエントリ

フードアナリストとしての活動を続けていると、料理のフィールドのアンテナ感度が高いので、本やマンガも料理系に引っ張られることが多いのですが、そんな中で出会ったマンガが、『オリオリスープ』(綿貫芳子著、モーニングコミックス)

月刊「モーニング・ツー」に連載されていたようですが、連載中は知らず、知った時にはコミック化も完了しておりました。
2017年11月30日発売の第4巻に最終話が掲載されております。

主人公は、本の装丁などを手がけるデザイン事務所に勤めるデザイナーの原田織ヱ(26歳)。
食通だった祖父の影響で料理好きで、中でもスープには並々ならぬ情熱を持っています。
そんな彼女の成長譚とともに、一話ごとに季節に合わせたスープや汁物料理が紹介されるのですが、これがなかなかに美味しそうなんです。

詳細なレシピはさすがに作中には出てきませんが、読んでいると作りたくなってしまいます。
cookpadには、作中のスープを実際に作ったレシピを公開する「オリオリスープのキッチン」なるコーナーもありますので参考にしてください。

絵のテイストは、個人的にはあまり好みではないのですが、暖かくほっこりとしたストーリーと、それにマッチしたスープのセレクトはなかなかで、時折取り出して料理のヒントを得るには良いかなと思ったりして。
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7月は結局ブログ書いてないのに気付いて愕然としました。忙しかったのは確かですが、これではいけませんね。反省しきり。

さて、8月1本目の投稿は、『酒と恋には酔って然るべき』(はるこ著、A.L.C DXコミックス)のご紹介。

『本の雑誌 2019年6月号』で岡部愛氏が紹介していたので知ったのですが、原案協力が酔っぱライターの江口まゆみ氏ということで興味を持ちました。

主人公は、32歳で独身のOL・松子。彼氏いない歴3年で、毎晩のようにカップ酒の晩酌を楽しむという日本酒好き。
そんな主人公の恋バナと平行して、日本各地の日本酒銘柄や、日本酒の造り方や種類などの基礎知識が紹介されます。

作者のはるこ氏は、女性向けの成人漫画で人気の作家さんということらしいのですが、そのあたりのジャンルは全くカバーしてないので知りませんでした。
しかし、わりとあっさりした線で描かれる画は読みやすく、サクサクと読み進められました。

紹介される日本酒も、普段は蒸留酒派の私にはとって知らない銘柄が多く興味深いですし、コンビニなどでも売られているカップ酒を電子レンジで燗を付ける飲み方とか、目から鱗でした。
そういう楽しみ方もあるなら、カップ酒を常備しておくのもいいかな。

Kindle版で読んで面白かったので、コミック版を購入して、本好きの女将のいる日本酒バー「糀素弓」に寄付しておきました。
よろしければ、「糀素弓」で日本酒飲みながら読んでみてください。

現在、2巻まで刊行中で、9月に3巻目が出るみたいなので、続きを読むのが楽しみです。
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宮崎市に本社のあるKIGURUMI.BIZの代表取締役で、着ぐるみの母とも呼ばれている加納ひろみさんが、本を出されたというので、早速購入して拝読しました。

幸せな着ぐるみ工場 あたたかいキャラクターを生み続ける女子力の現場』(かのうひろみ著、日本経済新聞出版社)。

以前の職場で、本書の中にも出てくる「みやざき犬」のお世話をしていたこともあるので、加納さんとは面識がありますし、何かのイベントでご一緒したり、SNSでも繋がってはいますが、それほど親しいという訳でもなく、遠目にそのご活躍の様子を見聞しているくらいの関係。

なので、本書を読んで初めて知ったことも多かったのですが、このところとみに涙腺が緩くなっている私には、その苦労を知って、涙無しには読めない箇所もありました。
底流にあるのは、普段はにこやかでふんわりとした雰囲気を見せる加納さんの、小さな身体に秘められたバイタリティと、彼女が様々なものに注ぐ愛の物語です。
彼女のことを知らなくても、3回泣くよ、たぶん。


その底流の上で、KIGURUMI.BIZの誕生から現在に至るまでに歴史が語られるわけですが、決して順風満帆ではなかったこれまでの経緯が赤裸々に語られているので、スタートアップ企業の成長譚として、ある意味ビジネス書のような読み方もできます。
特に後半の、労務管理に悩んで、残業の無い働き方を目指していくシーンは、「働き方改革」が叫ばれている今の時代に、大いに参考になると感じました。

着ぐるみ関係者やファンにはもちろん必読の書かと思いますが、宮崎という日本の片田舎で世界を相手に、着ぐるみと幸せを生み出している企業があることを知っていただくためにも、強く推薦したい一冊です。
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「コト消費」の嘘

カテゴリ : 
読書
執筆 : 
Dice 2017-11-11 12:15
 著者の川上徹也氏とは大学の同窓生で、今でもFacebookで繋がっている縁で、ゲラの状態で送って貰って読んだ、『「コト消費」の嘘』(角川新書)
今週から、書店の店頭にも並んでいるようなので、ちょっとプッシュしておきたいと思います。

ビジネス書に縁遠かった私が、そのジャンルにも目を向けるようになったのは、同じ川上氏の著書である『物を売るバカ』を手にしたのが最初でした。
そこから2年半、同書に書かれた、モノの背後にあるストーリーを前面に立ててモノを売る「ストーリーブランディング」の延長にあるように見える、体験型の「コト消費」が、このところメディアを賑わすようになってきています。
本書では、「コト消費」を意識して新しく作られている全国各地の商業施設の検証と分析をベースに、「コト消費」が、ちゃんと「モノ消費」に結びついているのか、どうすればモノは売れるのかを解き明かして行きます。

その中で、台湾にまで足を伸ばし、「宮原眼科」「誠品書店」という話題の商業施設も取材して、その「モノガタリ消費」の仕組みを分析しています。

この他にも、様々な具体例に触れつつ、「コト」と「モノ」の結びつきがうまく行っているところ、もう少し工夫が必要なところを、著者自身の目線で紹介しており、参考になる点が満載です。。

本書は、実際に商売に携わっている方はもちろん、ブランディングなどビジネス支援に関わっている方、企業や人材の誘致に関わっている行政職員など、幅広い方々に読んでいただきたい好著だと思います。
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co-ba MIYAZAKI向けブックディレクション

カテゴリ : 
読書
執筆 : 
Dice 2017-9-3 23:59


若草HUTTE & co-ba MIYAZAKIを運営する今西兄弟の兄・正さんから、開店に当たって、コワーキングスペースに置く本を選んで欲しいと依頼され、具体的に2万円分でという発注を受けました。

2万円だと10冊前後しか買えないので、何でもありではなくて、テーマをかなり絞ることにして、早速、12冊の候補リストを作って今西兄弟の両方に送りました。

すると、弟の猛さんから、2冊ほど自分で所蔵している本も混じっているので、その分は、デザイン系とかビジネス系に変更できないかとの返信があったのですが、12冊しか無い中で、2冊を入れ替えた程度では中途半端感は否めないので、今回のセレクトは、「ヤマとマチを繋ぐ」という若草HUTTEのコンセプトに沿って、マチの人にヤマの仕事や自然のことを知ってもらうための本で、できるだけデザイン系にも配慮したセレクトを行ったことを伝え、ビジネス書については、コワーキングスペースを利用する様々な人から寄贈してもらって揃えることにしてはどうかと提案したのでした。

その提案で了解をいただき、発注をかけて、届いた本にブッカーをかけて、ようやく納品にこぎつけたのが、次の12冊。

若草HUTTEの2階にあるco-ba MIYAZAKIに置かれていますので、機会があれば是非、手に取ってご覧ください。

ブッカーかけ、実に20年ぶりくらいにやったので、ちょっと失敗しちゃったところもあるのですが、そこはご容赦いただければw

わずか12冊に過ぎませんが、これがいろんな意味でスタートとなる 12冊になればいいなと願っています。

書名著者名出版社
猟師が教えるシカ・イノシシ利用大全田中康弘農文協
けもの道の歩き方千松信也リトル・モア
木の家に住むことを勉強する本「木の家」プロジェクト泰文館
森へ星野道夫福音館書店
木のうたイエラ・マリほるぷ出版
しいたけブラザーズ藤本美郷飛鳥新社
森の生活H・D・ソロー講談社学術文庫
森のきのこ、きのこの森新井文彦
自然のことのはネーチャープロ編集室幻冬舎
フライパンで山ごはんワンダーフォーゲル編集部山と渓谷社
フライパンで山ごはん2ワンダーフォーゲル編集部山と渓谷社
都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡高橋博之光文社新書
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『魚が食べられなくなる日』

カテゴリ : 
読書
執筆 : 
Dice 2016-10-21 1:01
先日、浦安の家に戻った際に、往復の飛行機の中で読んだのが、勝川俊雄著『魚が食べられなくなる日』(小学館新書)

今の職場がもろ水産業関係なので、毎朝の新聞チェックの時に本書の紹介を目にして、読んでおくべき本だろうと思った次第。

気鋭の水産学者である著者が前書きで書いているように、本書は、
「『水産に関するグラフを描いてみるとすべてが右肩下がり。上がっているのは漁業者の年齢だけ』という状態を打破するには、海外の成功事例から学び、これまでの日本農業のルール、仕組みを変えていくしかありません。そのための道筋を示しました。」
という内容。

日本の漁業、水産資源の現状について、データ、グラフに基づいてわかりやすく解説し、漁業復活の成功事例であるノルウェーでは、
(1) 個別漁獲割当方式の導入
(2) 世代交代を促進するSQS(Structural Quota System)方式の導入
(3) 補助金の削減と水産業の自立
という3つの政策が効果的であったと紹介。

そこから日本の水産業が復活するために採るべき政策としては、
科学・研究機関(水研機構)を水産庁から切り離すことによって、バイアスのかからない正確な科学的データに基づいて水産資源の実態を管理し、日本独自の個別漁獲割当制度を導入し、漁獲枠の譲渡ルール(ITQ、Individual Transferable Quota)を定めることとしています。

我先に早い者勝ちで根こそぎ獲りに行くのをやめて、質を高めるような効率的な獲り方に移行しましょうという訳ですね。
その方が、操業コストが下がり、労働生産性は上がるはずです。

「日本独自の個別漁獲割当制度」とは、魚種をある程度限定したTAC(Total Allowable Catch=総漁獲枠)とIQ(Individual Quota = 個別漁獲割当量)の導入と、国防面にも配慮した離島特別漁獲枠の設定で、特に後者に日本らしい事情があります。

個別漁獲割当制度の導入については、第三者的に水産業を眺めている立場からすると、確かにそうあるべきだろうと納得できるのですが、それらの主張はもう10年来言われ続けているにも関わらず、なかなか現実のものとならない現状を見ると、その困難さも容易に予測できます。

そのあたりは、本書の端々にも透けて見えて、水産庁を中心とする日本の水産行政が、いかに惨憺たるものなのか、改革を阻む、政治家と官僚と業界という「三すくみ構造」についても触れられています。
普段から政治の世界に振り回されている研究者の恨み辛みも込められているので、ある程度割り引いて読む必要はあるかも知れませんが、大きな構造は、確かにその通りだと思えます。

こうした現状を変えるには、関係者の自覚とともに、消費者サイドからの食の持続性に対する要求が必要で、そのために本書のようなわかりやすい解説本の存在意義があるのでしょう。

読みやすく面白い本ですので、水産関係者に限らず、魚好きなら、ご一読をお薦めします。
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 浦安に帰るために乗った飛行機の機中で一気読みしたサカキシンイチロウ著『博多うどんはなぜ関門海峡を越えなかったのか』(ぴあ株式会社)

 ほぼ日刊イトイ新聞で毎週木曜日に「おいしい店とのつきあい方」を連載している外食産業コンサルタントのサカキさんが、柔らかい麺が特徴の博多うどんの名店を訪ね歩き、その魅力を伝えつつ、うどん店のビジネスモデルについて解き明かした好著です。

うどん店との対比でラーメン屋で一番コストがかかっているのはスープで、ラーメン屋で
「炭水化物だけ食べてスープを残すのは、おいしいものを知らない人のすること」
とか、
「硬くなくては麺にあらず…って、それ本当?」
といった記述は、麺は麺として美味しく食べたい、スープは残さず飲むべしと思っている私にとって、我が意を得たりという感じで嬉しくなりました。

本書の後半で、東京に博多うどんの店を出店することを想定したシミュレーションで、簡単ではありますが、きっちりと収支計算が行われるあたり、さすがに外食コンサルタントの面目躍如。
いちいち納得できることばかり。

宮崎のうどんも博多うどんと同様に、ふわやわの麺が特徴。
出汁のひき方に違いはありますが、地域に根ざす文化、ビジネスモデルとしてはほぼ同じだと考えられます。

「おわりに」で著者はこう書きます。
「 この旅で、地方のおいしいものが食べたい、世界のおいしいものが食べたいと、それをワザワザ東京に呼びつけるようなことは不遜だと私は思うようになりました。
 行けばいいのですから。来ないのならば、行けばいいのです。」

そう、数ある宮崎グルメを宮崎まで食べに来て欲しい。
宮崎うどんもそのモチベーションの一つになって欲しい。
実は宮崎も、「うどん県」なのですから。
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焼酎の変遷を垣間見る『みやざきの本格焼酎』

カテゴリ : 
読書
執筆 : 
Dice 2016-2-11 22:33
先日、実家で蔵書を整理していた時に、懐かしい本を見つけました。
『みやざきの本格焼酎』(小川喜八郎・永山久春著、鉱脈社)。

前半は、県内を「けんなん」、「もろかた」、「けんおう」、「こゆ」、「けんほく」の4地区に分け、それぞれの地区を代表する焼酎の銘柄を、ラベルのデザインとともに1ページ1銘柄で紹介しています。
紹介されている銘柄は、県南19、諸方10、県央11、児湯11、県北16の67種類。

後半は、「焼酎よもやま話」として、焼酎に関する文化的、学術的な話題が紹介されていて、今読んでも参考になります。

発行は、今から29年前の1987年1月12日。第一次焼酎ブーム(1982〜85)の少し後になりますね。
冒頭の宮崎県酒造組合連合会会長・渡辺真助氏の「発刊に寄よせて」を読むと、この本が発行された当時、宮崎県内には65ヶ所の本格焼酎醸造場があったことがわかります。
現在、焼酎の出荷量は当時より格段に増えていますが、醸造場の数は38ヶ所に減っています。
本書で紹介されている銘柄の中でも、今は醸造場とともに消えてしまっているものもかなりあります。
逆に、本書以降に誕生した銘柄もたくさんあるのですが。

京屋酒造さんは、親子で酒造組合の会長を務めているのかとか、霧島酒造には米焼酎の「白霧島」があったとか、焼酎に関する知識を重ねた今、改めて読み返してみると、面白い発見があって楽しめました。

本書は、県内では宮崎県立図書館にしか蔵書がないみたいなので、読みたい方は、県立図書館まで行くか、お近くの図書館からリクエストしてくださいね。
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 久しぶりの読書記録だ。
 テゲツー!ライブラリの関係で書棚を整理していたら、積ん読になっていた、小林弘人著『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』(PHP新書)が見つかったので、宮城県出張のお供に持って行って読んだ。

 初版は2014年4月1日だから、1年半近く前。ドッグイヤーとも言われるネットの世界では風化も激しいのだが、まだ鮮度は保たれていたのは幸い。

 日本でインターネットの商用サービスが始まってから20年余。著者の小林氏は、株式会社インフォバーンの代表取締役CEOで、1994年に『ワイアード』日本版(懐かしい!)を創刊するなど、その黎明期からインターネット上のサービスを見続けてきている。

 その著者が本書語るのは、「ウェブ」の過去と現在と未来。
 インターネットの歴史の中で、その初期から使われている「ウェブ」という言葉は、何故か日本では一般的に理解されてるとは言いがたいが、幅広い読者層を想定するPHP新書というビジネス書において、「インターネット」でも「ICT」でも「ホームページ」でもなく、「ウェブ」へこだわることは、日本での商用インターネットサービスをその黎明期から割と積極的に使ってきた者のひとりとしてよく理解できる。

 世界中に広がる情報ネットワークによって人々が繋がることの意味は、単にその上で展開されるサービスを使うということではなく、そのネットワークを通して自らの知識や体験をオープンにし、他の人々とシェアすることによって、新たな価値やサービスを生み出すこと、人間の力を向上させることにある。

 そしてそれは、ネット上の世界だけではなくて、リアルな場(現実世界)においても同じだというのが著者から受け取ったメッセージだ。
 組織の中で、個々が持つ情報をオープンにし、それをシェアするという「ウェブ的」な考え方、それを現実のものとする行為が、その組織を、ひいては社会全体を更に発展させる。

 これは、自分自身がこれまでインターネットとの関わりの中で実感し、どちらかというとレイトマジョリティな組織に属しつつ、微力ながらも実践し続けようとしていることに通じるので、大いに共感できる。

 「ウェブとはすなわち現実世界の未来図である」という書名は、明確に著者のメッセージを伝えている。
 「ウェブ2.0」以降、人間中心主義に移行しているテクノロジーとネットワークは、既に我々の生活と切り離せないものになっている。その中で、テクノロジーへの理解や知識がなくとも、オープンとシェアという「ウェブ的思考」をリアルな社会に持ち込むことは、これからの社会を生きる上で不可欠のものとなるだろう。
 我が後輩達にも読んで欲しい良書として、テゲツー!ライブラリに寄贈することにしよう。
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 徒歩通勤で内勤メインになり、夜はテゲツー!の原稿書きに追われるという生活で、なかなか本が読めなくなったが、それでも昼休みのわずかな時間をつないで、スマホのkindleで読み終えたのは、フレンチミステリの話題作、ピエール・ルメートル著『その女アレックス』(文春文庫)。「

 この作品、『このミステリーがすごい!2015』海外部門第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第1位、「ミステリが読みたい!」海外編第1位、「IN★POCKET文庫翻訳ミステリー・ベスト10」第1位、本屋大賞翻訳小説部門第1位という、文句のつけようのない高評価だったので、ミステリ好きとしては、ほってはおけない作品だった。

 実際に読んでみて、その絶賛ぶりもむべなるかなというのが率直な感想。
 基本的にはタイトルにもなっている若い女アレックスの物語なのだが、その人生の有様が、読み進むうちに起承転結の中で変容していくプロットが素晴らしい。
 最初は誘拐・監禁事件なのだが、それがシリアルキラーの物語に、そして壮大な復讐譚へとメタモルフォーゼしていく構成に、ページをめくる手が止まらない(読む時間が限られているので、どうしても止められてしまうけど)。

 登場人物の造形も見事で、事件の流れとは別に底流にあるもう一人の主人公カミーユ・ヴェルーヴェン警部の物語も気になるところ。
 本作は、このカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの2作目として書かれたものらしいが、現段階で全5作のシリーズで本作以外は未訳。このヒットで、他の作品も翻訳されるといいのだが。

 フレンチ・ミステリには馴染みが薄いのでよく知らなかったが、調べてみると著者のピエール・ルメートルは、1951年生まれで作家デビューは2006年と、作家としては遅咲きだが、職業教育の場で図書館員相手に文学を教えながら脚本家として活躍していたというから(Wikipedia情報)、さすがに物語を紡ぐ基本はしっかりできているということか。
 本国フランスでの評価はもちろん、本作では英国推理作家協会の2012年インターナショナル・ダガー賞(翻訳小説賞)を受賞している。

 先にも書いたが、日本語に翻訳されている作品は本作以外にもうひとつ(『死のドレスを花婿に』(文春文庫))だけなので、他の作品の刊行が待たれるところ。
☆☆☆☆1/2
 
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