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徒然日記 - 読書カテゴリのエントリ

「コト消費」の嘘

カテゴリ : 
読書
執筆 : 
Dice 2017-11-11 12:15
 著者の川上徹也氏とは大学の同窓生で、今でもFacebookで繋がっている縁で、ゲラの状態で送って貰って読んだ、『「コト消費」の嘘』(角川新書)
今週から、書店の店頭にも並んでいるようなので、ちょっとプッシュしておきたいと思います。

ビジネス書に縁遠かった私が、そのジャンルにも目を向けるようになったのは、同じ川上氏の著書である『物を売るバカ』を手にしたのが最初でした。
そこから2年半、同書に書かれた、モノの背後にあるストーリーを前面に立ててモノを売る「ストーリーブランディング」の延長にあるように見える、体験型の「コト消費」が、このところメディアを賑わすようになってきています。
本書では、「コト消費」を意識して新しく作られている全国各地の商業施設の検証と分析をベースに、「コト消費」が、ちゃんと「モノ消費」に結びついているのか、どうすればモノは売れるのかを解き明かして行きます。

その中で、台湾にまで足を伸ばし、「宮原眼科」「誠品書店」という話題の商業施設も取材して、その「モノガタリ消費」の仕組みを分析しています。

この他にも、様々な具体例に触れつつ、「コト」と「モノ」の結びつきがうまく行っているところ、もう少し工夫が必要なところを、著者自身の目線で紹介しており、参考になる点が満載です。。

本書は、実際に商売に携わっている方はもちろん、ブランディングなどビジネス支援に関わっている方、企業や人材の誘致に関わっている行政職員など、幅広い方々に読んでいただきたい好著だと思います。
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co-ba MIYAZAKI向けブックディレクション

カテゴリ : 
読書
執筆 : 
Dice 2017-9-3 23:59


若草HUTTE & co-ba MIYAZAKIを運営する今西兄弟の兄・正さんから、開店に当たって、コワーキングスペースに置く本を選んで欲しいと依頼され、具体的に2万円分でという発注を受けました。

2万円だと10冊前後しか買えないので、何でもありではなくて、テーマをかなり絞ることにして、早速、12冊の候補リストを作って今西兄弟の両方に送りました。

すると、弟の猛さんから、2冊ほど自分で所蔵している本も混じっているので、その分は、デザイン系とかビジネス系に変更できないかとの返信があったのですが、12冊しか無い中で、2冊を入れ替えた程度では中途半端感は否めないので、今回のセレクトは、「ヤマとマチを繋ぐ」という若草HUTTEのコンセプトに沿って、マチの人にヤマの仕事や自然のことを知ってもらうための本で、できるだけデザイン系にも配慮したセレクトを行ったことを伝え、ビジネス書については、コワーキングスペースを利用する様々な人から寄贈してもらって揃えることにしてはどうかと提案したのでした。

その提案で了解をいただき、発注をかけて、届いた本にブッカーをかけて、ようやく納品にこぎつけたのが、次の12冊。

若草HUTTEの2階にあるco-ba MIYAZAKIに置かれていますので、機会があれば是非、手に取ってご覧ください。

ブッカーかけ、実に20年ぶりくらいにやったので、ちょっと失敗しちゃったところもあるのですが、そこはご容赦いただければw

わずか12冊に過ぎませんが、これがいろんな意味でスタートとなる 12冊になればいいなと願っています。

書名著者名出版社
猟師が教えるシカ・イノシシ利用大全田中康弘農文協
けもの道の歩き方千松信也リトル・モア
木の家に住むことを勉強する本「木の家」プロジェクト泰文館
森へ星野道夫福音館書店
木のうたイエラ・マリほるぷ出版
しいたけブラザーズ藤本美郷飛鳥新社
森の生活H・D・ソロー講談社学術文庫
森のきのこ、きのこの森新井文彦
自然のことのはネーチャープロ編集室幻冬舎
フライパンで山ごはんワンダーフォーゲル編集部山と渓谷社
フライパンで山ごはん2ワンダーフォーゲル編集部山と渓谷社
都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡高橋博之光文社新書
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『魚が食べられなくなる日』

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読書
執筆 : 
Dice 2016-10-21 1:01
先日、浦安の家に戻った際に、往復の飛行機の中で読んだのが、勝川俊雄著『魚が食べられなくなる日』(小学館新書)

今の職場がもろ水産業関係なので、毎朝の新聞チェックの時に本書の紹介を目にして、読んでおくべき本だろうと思った次第。

気鋭の水産学者である著者が前書きで書いているように、本書は、
「『水産に関するグラフを描いてみるとすべてが右肩下がり。上がっているのは漁業者の年齢だけ』という状態を打破するには、海外の成功事例から学び、これまでの日本農業のルール、仕組みを変えていくしかありません。そのための道筋を示しました。」
という内容。

日本の漁業、水産資源の現状について、データ、グラフに基づいてわかりやすく解説し、漁業復活の成功事例であるノルウェーでは、
(1) 個別漁獲割当方式の導入
(2) 世代交代を促進するSQS(Structural Quota System)方式の導入
(3) 補助金の削減と水産業の自立
という3つの政策が効果的であったと紹介。

そこから日本の水産業が復活するために採るべき政策としては、
科学・研究機関(水研機構)を水産庁から切り離すことによって、バイアスのかからない正確な科学的データに基づいて水産資源の実態を管理し、日本独自の個別漁獲割当制度を導入し、漁獲枠の譲渡ルール(ITQ、Individual Transferable Quota)を定めることとしています。

我先に早い者勝ちで根こそぎ獲りに行くのをやめて、質を高めるような効率的な獲り方に移行しましょうという訳ですね。
その方が、操業コストが下がり、労働生産性は上がるはずです。

「日本独自の個別漁獲割当制度」とは、魚種をある程度限定したTAC(Total Allowable Catch=総漁獲枠)とIQ(Individual Quota = 個別漁獲割当量)の導入と、国防面にも配慮した離島特別漁獲枠の設定で、特に後者に日本らしい事情があります。

個別漁獲割当制度の導入については、第三者的に水産業を眺めている立場からすると、確かにそうあるべきだろうと納得できるのですが、それらの主張はもう10年来言われ続けているにも関わらず、なかなか現実のものとならない現状を見ると、その困難さも容易に予測できます。

そのあたりは、本書の端々にも透けて見えて、水産庁を中心とする日本の水産行政が、いかに惨憺たるものなのか、改革を阻む、政治家と官僚と業界という「三すくみ構造」についても触れられています。
普段から政治の世界に振り回されている研究者の恨み辛みも込められているので、ある程度割り引いて読む必要はあるかも知れませんが、大きな構造は、確かにその通りだと思えます。

こうした現状を変えるには、関係者の自覚とともに、消費者サイドからの食の持続性に対する要求が必要で、そのために本書のようなわかりやすい解説本の存在意義があるのでしょう。

読みやすく面白い本ですので、水産関係者に限らず、魚好きなら、ご一読をお薦めします。
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 浦安に帰るために乗った飛行機の機中で一気読みしたサカキシンイチロウ著『博多うどんはなぜ関門海峡を越えなかったのか』(ぴあ株式会社)

 ほぼ日刊イトイ新聞で毎週木曜日に「おいしい店とのつきあい方」を連載している外食産業コンサルタントのサカキさんが、柔らかい麺が特徴の博多うどんの名店を訪ね歩き、その魅力を伝えつつ、うどん店のビジネスモデルについて解き明かした好著です。

うどん店との対比でラーメン屋で一番コストがかかっているのはスープで、ラーメン屋で
「炭水化物だけ食べてスープを残すのは、おいしいものを知らない人のすること」
とか、
「硬くなくては麺にあらず…って、それ本当?」
といった記述は、麺は麺として美味しく食べたい、スープは残さず飲むべしと思っている私にとって、我が意を得たりという感じで嬉しくなりました。

本書の後半で、東京に博多うどんの店を出店することを想定したシミュレーションで、簡単ではありますが、きっちりと収支計算が行われるあたり、さすがに外食コンサルタントの面目躍如。
いちいち納得できることばかり。

宮崎のうどんも博多うどんと同様に、ふわやわの麺が特徴。
出汁のひき方に違いはありますが、地域に根ざす文化、ビジネスモデルとしてはほぼ同じだと考えられます。

「おわりに」で著者はこう書きます。
「 この旅で、地方のおいしいものが食べたい、世界のおいしいものが食べたいと、それをワザワザ東京に呼びつけるようなことは不遜だと私は思うようになりました。
 行けばいいのですから。来ないのならば、行けばいいのです。」

そう、数ある宮崎グルメを宮崎まで食べに来て欲しい。
宮崎うどんもそのモチベーションの一つになって欲しい。
実は宮崎も、「うどん県」なのですから。
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焼酎の変遷を垣間見る『みやざきの本格焼酎』

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読書
執筆 : 
Dice 2016-2-11 22:33
先日、実家で蔵書を整理していた時に、懐かしい本を見つけました。
『みやざきの本格焼酎』(小川喜八郎・永山久春著、鉱脈社)。

前半は、県内を「けんなん」、「もろかた」、「けんおう」、「こゆ」、「けんほく」の4地区に分け、それぞれの地区を代表する焼酎の銘柄を、ラベルのデザインとともに1ページ1銘柄で紹介しています。
紹介されている銘柄は、県南19、諸方10、県央11、児湯11、県北16の67種類。

後半は、「焼酎よもやま話」として、焼酎に関する文化的、学術的な話題が紹介されていて、今読んでも参考になります。

発行は、今から29年前の1987年1月12日。第一次焼酎ブーム(1982〜85)の少し後になりますね。
冒頭の宮崎県酒造組合連合会会長・渡辺真助氏の「発刊に寄よせて」を読むと、この本が発行された当時、宮崎県内には65ヶ所の本格焼酎醸造場があったことがわかります。
現在、焼酎の出荷量は当時より格段に増えていますが、醸造場の数は38ヶ所に減っています。
本書で紹介されている銘柄の中でも、今は醸造場とともに消えてしまっているものもかなりあります。
逆に、本書以降に誕生した銘柄もたくさんあるのですが。

京屋酒造さんは、親子で酒造組合の会長を務めているのかとか、霧島酒造には米焼酎の「白霧島」があったとか、焼酎に関する知識を重ねた今、改めて読み返してみると、面白い発見があって楽しめました。

本書は、県内では宮崎県立図書館にしか蔵書がないみたいなので、読みたい方は、県立図書館まで行くか、お近くの図書館からリクエストしてくださいね。
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 久しぶりの読書記録だ。
 テゲツー!ライブラリの関係で書棚を整理していたら、積ん読になっていた、小林弘人著『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』(PHP新書)が見つかったので、宮城県出張のお供に持って行って読んだ。

 初版は2014年4月1日だから、1年半近く前。ドッグイヤーとも言われるネットの世界では風化も激しいのだが、まだ鮮度は保たれていたのは幸い。

 日本でインターネットの商用サービスが始まってから20年余。著者の小林氏は、株式会社インフォバーンの代表取締役CEOで、1994年に『ワイアード』日本版(懐かしい!)を創刊するなど、その黎明期からインターネット上のサービスを見続けてきている。

 その著者が本書語るのは、「ウェブ」の過去と現在と未来。
 インターネットの歴史の中で、その初期から使われている「ウェブ」という言葉は、何故か日本では一般的に理解されてるとは言いがたいが、幅広い読者層を想定するPHP新書というビジネス書において、「インターネット」でも「ICT」でも「ホームページ」でもなく、「ウェブ」へこだわることは、日本での商用インターネットサービスをその黎明期から割と積極的に使ってきた者のひとりとしてよく理解できる。

 世界中に広がる情報ネットワークによって人々が繋がることの意味は、単にその上で展開されるサービスを使うということではなく、そのネットワークを通して自らの知識や体験をオープンにし、他の人々とシェアすることによって、新たな価値やサービスを生み出すこと、人間の力を向上させることにある。

 そしてそれは、ネット上の世界だけではなくて、リアルな場(現実世界)においても同じだというのが著者から受け取ったメッセージだ。
 組織の中で、個々が持つ情報をオープンにし、それをシェアするという「ウェブ的」な考え方、それを現実のものとする行為が、その組織を、ひいては社会全体を更に発展させる。

 これは、自分自身がこれまでインターネットとの関わりの中で実感し、どちらかというとレイトマジョリティな組織に属しつつ、微力ながらも実践し続けようとしていることに通じるので、大いに共感できる。

 「ウェブとはすなわち現実世界の未来図である」という書名は、明確に著者のメッセージを伝えている。
 「ウェブ2.0」以降、人間中心主義に移行しているテクノロジーとネットワークは、既に我々の生活と切り離せないものになっている。その中で、テクノロジーへの理解や知識がなくとも、オープンとシェアという「ウェブ的思考」をリアルな社会に持ち込むことは、これからの社会を生きる上で不可欠のものとなるだろう。
 我が後輩達にも読んで欲しい良書として、テゲツー!ライブラリに寄贈することにしよう。
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 徒歩通勤で内勤メインになり、夜はテゲツー!の原稿書きに追われるという生活で、なかなか本が読めなくなったが、それでも昼休みのわずかな時間をつないで、スマホのkindleで読み終えたのは、フレンチミステリの話題作、ピエール・ルメートル著『その女アレックス』(文春文庫)。「

 この作品、『このミステリーがすごい!2015』海外部門第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第1位、「ミステリが読みたい!」海外編第1位、「IN★POCKET文庫翻訳ミステリー・ベスト10」第1位、本屋大賞翻訳小説部門第1位という、文句のつけようのない高評価だったので、ミステリ好きとしては、ほってはおけない作品だった。

 実際に読んでみて、その絶賛ぶりもむべなるかなというのが率直な感想。
 基本的にはタイトルにもなっている若い女アレックスの物語なのだが、その人生の有様が、読み進むうちに起承転結の中で変容していくプロットが素晴らしい。
 最初は誘拐・監禁事件なのだが、それがシリアルキラーの物語に、そして壮大な復讐譚へとメタモルフォーゼしていく構成に、ページをめくる手が止まらない(読む時間が限られているので、どうしても止められてしまうけど)。

 登場人物の造形も見事で、事件の流れとは別に底流にあるもう一人の主人公カミーユ・ヴェルーヴェン警部の物語も気になるところ。
 本作は、このカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの2作目として書かれたものらしいが、現段階で全5作のシリーズで本作以外は未訳。このヒットで、他の作品も翻訳されるといいのだが。

 フレンチ・ミステリには馴染みが薄いのでよく知らなかったが、調べてみると著者のピエール・ルメートルは、1951年生まれで作家デビューは2006年と、作家としては遅咲きだが、職業教育の場で図書館員相手に文学を教えながら脚本家として活躍していたというから(Wikipedia情報)、さすがに物語を紡ぐ基本はしっかりできているということか。
 本国フランスでの評価はもちろん、本作では英国推理作家協会の2012年インターナショナル・ダガー賞(翻訳小説賞)を受賞している。

 先にも書いたが、日本語に翻訳されている作品は本作以外にもうひとつ(『死のドレスを花婿に』(文春文庫))だけなので、他の作品の刊行が待たれるところ。
☆☆☆☆1/2
 
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『物を売るバカ』

カテゴリ : 
読書
執筆 : 
Dice 2015-4-8 22:13
 2月に記事書いてから、またも2ヶ月放置プレイだった。申し訳ない。
 本当は、3月初旬には載せてたはずの記事、なかなか書けずにアップできなかったけど、ようやく書き上げた。遅れた分、ちょっと時間軸が合っていない部分もあるけど、それは許されたし。
 以下、その記事。


 ビジネス書って滅多に読まないんだけど、この数年、営業の仕事が続いたこともあってマーケティングがらみの話を聞くことも多いし、生産者さんや生産者をサポートする仕事をしている人々と交流する機会も多いので、ちょっと気になっていた本を読んでみた。
 その本が、川上徹也著『物を売るバカ 売れない時代の新しい商品の売り方』(ワンテーマ21)
 実は、著者の川上徹也氏は大学時代の同級生なのだ。
 彼は、これまでもビジネス書をいくつか上梓して結構話題になったりもしていたので、書店の店頭で見かけて手に取って、元同級生の頑張りになんとなく嬉しくなったりしていた。
 それでもなかなか縁遠いビジネス書ということもあって、購入するにまでには至らなかったのだが、今回、Windows対応のkindleアプリが出たのを機に、その第一号として『物を売るバカ(kindle版)』をポチって読んでみた次第。

 書かれている内容は、最近流行っているらしい「ストーリーブランディング」というやつ。
 凄く簡単に要約してしまうと、物が売れなくなっている時代でも、流行っている店、売れている物はあるのだが、その裏には、単に物を売るのではなく、物にまつわる「物語」を売るということがきちんとできているから、ということ。

 「ストーリーブランディング」は流行っているらしいので、類書はたくさん出ていると思うけど、本書には、どのような「物語」が人の心をつかみ動かすのか、どうすれば効果的に「物語」を発信することができるかといった勘所が、いくつかの実例とともにわかりやすくまとめられている。
 私のようなブランディング初心者にとってはとてもわかりやすく、腑に落ちることも多かった。
 物を売ることについて、理論化はできていなかったけど、経験則的にストーリーが必要だということはなんとなく感じていたし。

 第三章に出てくる、東京下町のメリヤス工場がオリジナルの布草履を開発してフランス・パリの展示会に出展し、新たな事業分野を切り開いていく物語なんて、社長の小高集さんとFacebookで繋がっていて、ほぼリアルタイムにタイムラインでその物語を追っていたので、そうそう、そうなんですよ!って納得しきり。

 で、その「物語」というのは、商品そのものが持っているもの以外に、会社や経営者の「志」や「理念」など様々なものが「物語の種」になり得るし、新しく作り上げて行くこともできるけど、ウソはだめだよと、川上先生はおっしゃる訳です。
 そして最後に、商品に「人」をプラスすることが大事だとまとめます。結局すべては「人」なんだ、と。

 いやー、いいわ。売れてるのもわかる。川上先生ともFacebookで繋がっているので、増刷かかったとか、どこぞの書店で平台面陳されているとか、そういう情報も伝わってきちゃったりするので…。

 ともあれ、物づくりとか販売に関わっている方には、お薦めできる一冊でした。

 川上先生、宮崎に講演に来てくれないかな〜。ただし、お友達価格でね(^_^;。
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『ラバーネッカー』

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読書
執筆 : 
Dice 2015-2-12 0:04
 このブログも、昨年の7月以来、かなり更新サボってて、完全に放置プレイ状態になっている。
 オウンドメディアを頑張らないっていうのは、ブランディング的にいかんな

 書くことが無いのではなくて、ブログに書かなくなった理由は二つあって、一つには些細なことは専らFacebookに書くようになっているのが大きい。
 4年前くらいはメインストリームだったTwitterにも殆ど書かなくなって、開くことも少なくなっている。mixiなんて開きもしていない。

 二つ目の理由は、昨年の5月頃から、「宮崎てげてげ通信」の運営メンバーに加わって、フリーの(この場合の“フリー”とは、対価を全く得ずにという意味だが)ライターとして記事を書くようになっていてるから。
 基本的に週1本記事を書くというノルマなんだけど、これが結構大変で、取材に行って写真撮って、推敲しながら文章書くのにかなり時間がかかっている。
 読んでもらえる記事書くのってのは、消耗する仕事でもある。

 そういう訳で、ブログに書くだけの気力が充実しなくて、気になりながらもこれまでなかなか書けなかった。

 しかし、1999年から途切れながらもこれまで続けてきたブログだから、これからも本当に書けなくなるまでは続けて行こうと思う。

 ということで、最近読んだベリンダ・バウアー著『ラバーネッカー』(小学館文庫)のご紹介。

 主人公のパトリック・フォートは、イギリス・南ウエールズのブレコンに住む18歳。8歳の時に交通事故で父親を亡くし、母親と二人暮らし。
 そして、パトリックにはアスペルガー症候群という障害があり、細部や日課への異常なこだわりと他人とのコミュニケーションが苦手という特性がある。
 しかし、全く会話ができないということではなく、回りの空気を読めないという程度だ。そしてそのこだわりは、父親の死をきっかけに生物学や動物学に向けられて、その分野では優秀な成績を修めるほどになっている。

 そのパトリックが、障害者枠でカーディフ大学に入学することになり、生物学部の解剖実習室で解剖学を学ぶことになった。
 パトリック達が実習室で解剖するのは、同大学のの大学病院で亡くなった患者。

 ある日、パトリックのグループに割り当てられた解剖体は享年47歳の白人男性で「十九番」と呼ばれている。少しずつ解剖を進めながら、その死因を探るのがパトリック達に与えられた課題だ。
 他のグループが解剖体の死因を次々と突き止めていくのに対し、パトリック達の「十九番」の死因はなかなか明らかにならない。
 そして彼は、「十九番」の咽頭部からピーナッツを見つけるが、偶然「十九番」の死因が心不全だったことを知り、解剖結果との矛盾から死因に疑念を抱くことになる。

 人の死の探求にとりつかれているパトリックは、「十九番」の死の真相を暴くべく危険な探求を開始し、大学病院で行われていて驚くべき所業を明らかにし、最終的に父の死の真相にもたどり着いていく。


 作者のベリンダ・バウアーは、デビュー作の『ブラックランズ』で2010年に英国推理作家協会の最優秀長編作品賞であるゴールド・ダガー賞を受賞している。
 本作でも2013年に同賞にノミネートされているが(惜しくも受賞は逃して図書館賞を受賞)、主人公が自閉症スペクトラム障害を抱えた障害者であるという意外性、重層的に語られる物語が、最終的に一つに収斂していく構成の巧みさなど、その実力を遺憾なく発揮している。☆☆☆☆

 なお、自閉症スペクトラム障害については、巻末の香山リカ氏による解説で詳しく紹介されている。
 私の息子も同じ障害を抱えているが、パトリックの障害は、同じ自閉症スペクトラム障害の中でもかなり軽い。
 自閉症スペクトラム障害による障害の軽重はかなり幅広く、人によって様々であり、誰でもパトリックのようにうまく克服できる訳ではないが、こういう作品を通して、その障害に対する理解が少しでも深まればと思う。
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『血の咆哮』

カテゴリ : 
読書
執筆 : 
Dice 2014-7-27 22:36
 今回の旅のお供は、ウィリアム・K・クルーガー著『血の咆哮』(講談社文庫)
コーク・オコナー・シリーズの7作目だ。

 デビュー作の『凍りつく心臓』から『希望の記憶』までのシリーズ6作を順番どおりではないけど読み継いできて、すっかりシリーズの魅力にはまってしまっている訳だが、7作目となる本作は、これまでとは少し趣が変わっている。

 その理由の一つが、初めてコークの一人称で語られるということ。
これまではコークの物語だったものが、コークの目を通して語られる物語になっている。
 そしてもう一つが、三部構成の真ん中が、オブジワ族の老まじない師ヘンリー・メルーの波瀾万丈な青春物語になっていること。

 メルーは、コークのメンターでもあるオブジワ族の老まじない師で、これまで何度かコークの窮地を救ってきているが、急に心臓の病気で倒れ、入院してしまう。
 コークはそのメルーから、72年前にもうけて一度も会ったことのない息子を探して欲しいという依頼を受ける。
 手がかりは、72歳という年齢と母親の名前、その写真の入った金時計、そしてカナダのオンタリオ州から探し始めろということだけ。

 そこからコークの調査が始まるのだが、コークはコークで大学に進むことになっている長女のジェニーのことで新たな問題を抱えていた。

 メルーの息子を探すコークの旅路は、メルーの過去から繋がる猜疑と嫉妬の火種を掻き起こすことになり、メルーをめぐる新たな物語が動き始める。
 そして、過去の物語と現在の物語が交錯し、ほろ苦い結末を迎えることになる。

 メルーの過去の物語に比重が置かれているため、現在の物語の展開が急すぎる感じもあるが、アメリカ中西部からカナダにかけての大自然の描写を織り交ぜながら、その自然と共生する人々の生き様を描くクルーガーの筆は相変わらず冴えており、リーダビリティーは揺るぎない。

 クルーガーが本書で描きたかったのは、父と子の物語であり、家族の愛の物語なのであろう。
 最後のエピローグでクルーガーはコークにこう語らせている。

「人間の語彙の中で最大の言葉であるLOVEはたった四文字で、その言葉にはどんな定義もじゅうぶんとはいえない。わたしたちは犬を愛する。子どもを愛する。神とチョコレートケーキを愛する。わたしたちは愛にめざめ、愛を捨てる。愛のために死に、愛のために殺す。愛を消費することはできない。飢え死にしそうなときにも食べられはしないし、渇いて死にそうなときにも飲めはしない。きびしい冬の寒さには役に立たないし、暑い夏の日には安物の扇風機の方がまだ使えるだろう。しかし、この世でなにがもっとも大切かと問われたら、ほとんどの人間にとってそれは愛だとわたしは強く信じている。」

けだし名言。☆☆☆☆。
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