徒然日記 - 201909のエントリ



3連休の中日、第25回宮崎映画祭開催中の宮崎キネマ館に観に行ったのは、映画祭の上映作品とは関係ない、『風をつかまえた少年』
先日、鹿児島で観た『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』に続いて、図書館関係者の間で観るべき映画として推奨されている作品です。

アフリカ大陸の中でも最貧国のひとつマラウイに住む14歳の少年ウィリアム・カムクワンバ。
2001年にマラウイを襲った大雨とその後の干ばつにより父が育てていたトウモロコシが採れなくなり、収入が得られず、学費が払えなかったために学校を退学になってしまう。
更に干ばつは進み、政府の援助も得られず、餓死する者が増える中、井戸から水を汲み上げるポンプさえ動かせれば、危機から脱出できると、学校の図書館で得た知識を基に廃品から風車を作り上げ、自転車のダイナモを繋いで電気を起こし、水を汲み上げて畑に灌漑することに成功する、というのが大まかなストーリー。


マラウイの厳しい現実と、機能しない借り物の民主主義。
そんな中でも希望を失わず、学びの中かから生きる知恵を紡ぎ出す無垢な少年。
そして、その少年の助けとなる図書館やそこに置かれた本という存在。
人間が生きていくために、いかに知識が必要か、そしてその知識の取得を保障する学校や図書館という存在の重要性をこの映画は教えてくれます。

このストーリーは実話に基づいており、映画の主人公となったウィリアム・カムクワンバは実在して、TEDで2度スピーチを行っている。
それが、以下の2本の動画。





さらに本にもなっていて、ひとつは『風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった』(ウィィアム・カムクワンバ、ブライアン・ミーラー著、文春文庫)。



もうひとつは絵本で、『風をつかまえたウィリアム』(さらえ書房)

映画観る人の中には、絵本を最初に読んでという人もいるみたいですが、私は未読です。
宮崎県立には所蔵無しで、県内では、延岡市立、門川町立、日向市立、川南町立、西都市立、国富町立、綾てるは、宮崎市立、三股町立、都城市立、小林市立、日南市立、串間市立に所蔵があることは確認できました。

それにしても私が観た回、若い人はほとんどいませんでした。
子どもと一緒に観る映画としても良いと思うんですけどね。
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最後のチャンスかもしれない

カテゴリ : 
図書館
執筆 : 
Dice 2019-9-13 18:30
本日(2019年9月13日)付け宮崎日日新聞の県央面に、宮崎市が橘通東2丁目の市有地について、活用する事業者を公募するとの記事が掲載されていました。
現在、諸塚村と延岡市北浦町のアンテナショップ「ふるさと物産館 海幸・山幸」や駐輪場などがある、橘通りに面した1,041平米の土地です。

記事によると、市側は「今年1〜2月、活用の可能性に探るため5事業者と面談。飲食や物販、オフィス、高齢者住宅などが入居する高層複合ビル建設や1、2階建てのチャレンジショップなど実現可能性が高いとみられる提案があり、事業化を目指せると判断し公募を決めた。」とのこと。

橘通3丁目の、今は「みやざきアートセンター」が建っている土地の活用の時も主張したのですが、これは、マチナカから消えてしまった図書館の機能を再び取り戻すチャンスではないかと思うのですよね。それも、今回が最後になるかもしれない。

昨年、都城市立図書館が、中心市街地の再開発の一環でmallmallとしてマチナカに移転してきて、全国から注目を集めるほどの成功を収めていることからもわかるように、公共図書館は集客の装置として有効なんですよ。
もちろん、造れば良いというものではなくて、成功するためにはそれなりのやり方はありますけどね。

複合ビルで構わないので、ショップやオフィスなどとともに、市立図書館の分館機能を是非ともここに入れていただきたい。規模的には、花山手にある今の市立図書館が中央館になるでしょうから。
これからの中心市街地のあり方を見据えて、情報の受発信のハブとなる図書館とカフェを1階に配置し。2階から上はオフィスやテナントとして利用する計画だと嬉しいのです。

しかし、宮崎市役所はおそらく全くそんなことは考えていなくて、事業者に丸投げすればOKと安易に考えているはず。
でも、うまく絵を描いてあげれば、大金かけてアリーナを造るよりも絶対に安定的に集客できて、周辺への波及効果もあると思うのですよね。
そのためにも、事業者に丸投げで「良い案持ってきて!」というスタンスではなくて、「こういう街づくりしたいからこういう機能は入れてね」っていうコミュニケーションがまず必要なんですよね。今からでも遅くないので、公募要件をちゃんと作って欲しいなぁ。
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ブログに書くのが遅くなってしまいましたが、先日、図書館界で話題の映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を観るために、鹿児島まで行ってきました。
話題の映画とはいえ、そうそう客を呼べる映画ではないので、全国の小さな映画館で順次上映されていて、宮崎では「宮崎キネマ館」で9月23日から10月4日までの上映予定。
それが、鹿児島のマルヤガーデンズ7階にある「ガーデンズシネマ」では、8月29日から9月2日と一足早い。しかも、8月31日(土)の上映は、今をときめく都城市立図書館の前田小藻副館長のトークセッションもあるというから、わざわざ行く価値があるというもの。
ということで、「ガーデンズシネマ」に事前に連絡してチケットの取り置きを頼み、2枚きっぷを購入して電車で出かけてきました。

それで、『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』
上映時間が3時間25分ととにかく長いです。途中で5分程度のインターミッション(休憩)が入りますが、体調を整えていかないと、ちょっとしんどい長さ。これ以前にインターミッションのある映画を観たのがいつだったか調べてみたら、1984年公開の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』以来だったようで、なかなか無いことではあります。

しかし長いのには理由があって、ニューヨーク公共図書館は、4つの中央図書館に加え、大小合わせて88の地域分館と、4つのリサーチ・ライブラリー(専門図書館)を有する巨大図書館網なのです。
そこで毎日、様々な活動が行われ、実に多様な人々が利用しているのですから、ちょっとずつ切り取ってもかなりのボリュームになります。
紹介されるコレクションもすごいのですが、中央館の玄関ホールで作家のトークセッションが行われ、訪れた人が立ったまま聞いていたり、エルヴィス・コステロやパティ・スミスなどの著名人のトークショーが行われていたりという華やかなイベントの一方で、資料を利用したり端末を使って情報資源にアクセスする利用者の姿があります。


監督のフレデリック・ワイズマンは、2016年にアカデミー名誉賞を受賞していて、ドキュメンタリーの巨匠と称されているらしいですが、各館で行われている活動を、図書館の外の喧噪も含めて、コラージュ的にある意味淡々と切り取り繋いで行きます。

特筆すべきは、ここが「公共図書館」であること。NPOが運営し、費用についてはニューヨーク市の予算と民間からの寄付で賄われています。
映画の中では、法人の理事による予算獲得のための会議の模様が頻繁に映し出され、職員集会で市の予算を獲得するために行動を起こそうというアジテーションが行われたりするシーンもありました。
行政から独立しながら、市民の情報リテラシーを上げるために、図書館自らが高速なネット環境の整備を行うという取り組みを行うあたり、さすがにアメリカという感じがします。

一口に「図書館」と称するものの活動の全てがこの映画の中にあると言っても過言ではありませんが、この図書館で働いている人々が、実に生き生きと誇りを持って利用者と接し、日々図書館の活動を充実させるために取り組んでいることが強く印象に残りました。

繰り返しになりますが、宮崎では「宮崎キネマ館」で9月23日から10月4日までの上映予定。
日本一の読書県を目指す関係者はもちろん、普段から図書館を利用している人も、図書館使ったことないしいらないんじゃね?と思っている人も、多くの人に観ていただきたい、司書的に絶賛オススメの映画です。
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