徒然日記 - 202101のエントリ
それでも著者は、同級生のよしみで許してくれるだろうと思います。
そう、著者の川上徹也氏とは、大学で同級だったんです。
その当時は、彼が大手広告会社に勤め、ブランディングの大家になって本をたくさん書くことになり、挙げ句の果てには我が故郷の高校生を相手に商品開発の指導をしてくれるなんて思いもしなかったのですが、縁は異なもの不思議なものですね。
今月、彼が指導した高校生達が、私の勤める新宿の店で、開発した商品の販売体験をやるはずだったのですが、緊急事態宣言を受けて延期になってしまいました。
久しぶりに川上氏と会えると思っていたのに残念です。
そんなことより本書、出版取次大手「大販」(モデルは東販かと思ったら、著者が違うよというので、それな日販かな)の新入社員・大森理香の成長譚を縦糸として、著者が別の本のための取材で出会った兵庫県尼崎市に実在する書店「小林書店」の小林由美子さんが語るストーリーを横糸に、フィクションとノンフィクションがうまく融合された構成になっています。
展開されるのは出版取次と書店の世界での話ですが、いきなり本屋の由美子さんが傘を売る話から始まり、由美子さんの話の中に人の心を動かすためのノウハウが詰まっていて、書店に限らず様々なビジネスシーンに共通することが満載です。
タイトルのとおりここには、「仕事で大切なこと」の学びが織り込まれています。
特に、久しぶりに食品小売りの現場に戻った私には、改めて学び直す良い機会となりましたし、手軽で読みやすいので、スタッフ教育にも適した一冊だと思いました。
川上君、今回も良い本をありがとう。

久しぶりに土曜のランチを料理。妻と息子の分を入れて3人分。
ストッカーに「日清ラ王 醤油」があったので、野菜系をトッピングしたラーメンを作ることにして冷蔵庫を覗いたら、ハムみたいなチャーシューをスライスしたやつと賞味期限の近いキムチが入っていて、野菜室にキャベツがあったので、まずはフライパンでチャーシューとキャベツのキムチ炒めを作りました。
平行して、ゆで卵を8分茹でで。半熟よりやや完熟寄りの茹で加減にしたかったので。
鍋に湯を沸かしてラ王の麺を投入したら、付属のスープを丼にあけ、麺の茹で上がり直前に熱湯で伸ばして、茹で上がった麺を泳がせます。
その上から、チャーシューとキャベツのキムチ炒めと2つに切った茹で玉子をのせ、刻みネギを散らしたら出来上がり!
冬の寒い日には、唐辛子のピリッとした辛さと、キムチの複雑な旨味が加わったこういうラーメンがいいですね。
さて、新年早々の更新は、昨年末に読了した『食の歴史―人類はこれまで何を食べてきたのか』(ジャック・アタリ著、プレジデント社)
ジャック・アタリ氏と言えば、フランスの経済学者、思想家、作家であり、1981年にミッテラン大統領の特別顧問となって以降、現在のマクロン大統領までフランスの政治運営にも深く関わる知識人。現代の知の巨人の一人と言えるでしょう。
そんな博覧強記のアタリ氏が、人類がその誕生から現在に至るまで、食べるという行為とどのように関わり、どのように変容を遂げてきたのか、そして未来への予測・提言を、古今東西の膨大な資料を分析して解き明かしたのが本書。巻末の参考文献一覧だけでも凄いです。
「ホモ・サピエンスが言語を習得できたのは、火を利用して食べるようになったから」であり、食と言語は密接な関係にあり、食が言語の発展を促し、食事の場=宴は社交の場として権力者の語り場となり、ついには食べるという行為は副次的なことにすぎないところまで行ってしまいます。
そして19世紀以降、食に対する欲求の高まりとともに工業化が進展し、社会もそれに応じて変遷して行くことになります。
本書は、人類の歴史の中で社会の変容と食との関係を、事実に基づきながらわかりやすく説き起こしてくれます。
そして、富裕層と貧困層の分断が進む現代、飢餓の問題や食糧の生産が起因となる地球環境の破壊などの課題に触れつつ、30年後の世界がどうなっていくのかを予言して行きます。
アタリ氏が描き出す世界は決して明るいものではなく、最悪で悲惨な未来も予言されますが、その未来を避けることができる手段も提示されます。
詳しくは本書を読んでいただければ幸いですが、自分たちの食を知ることがいかに大事なことであるかを教えてくれます。
フードアナリストとしての必読書のリストに、本書を是非とも加えていただきたいと思う次第であり、フードアナリストに限らず、食に関心のある方にはお薦めしたい一冊です。☆☆☆☆☆