本日付け読売新聞の15~17面に、7月3日に京都市の京都教育文化センターで開催された第7回活字文化推進フォーラムでの基調講演とパネルディスカッションの概要が紹介されている。
基調講演は、建築家の安藤忠雄氏。パネルディスカッションのテーマは、「すてきな読書空間づくり」で、パネラーは、高鷲忠美氏(八洲学園大学教授、全国学校図書館協議会理事)、石田衣良氏(作家)、永井伸和氏(今井書店グループ会長)、米原万里氏(作家)、コーディネーターは橋本五郎氏(読売新聞東京本社編集委員)。
パネルディスカッションの冒頭、学校を舞台にした環境づくりに必要なものについて、高鷲氏は、図書館を中核に据えた教育を行っている山形県鶴岡市立朝暘第一小学校の例を挙げ、「30数年の経験を持つ司書がいて、校長らが読み聞かせと調べ学習など授業に図書館を組み込んでいる」と、人の重要性を第一にしている。
永井氏は、鳥取県の「心のふれあう感動の図書館」事業を例に挙げ、司書教諭を前項に配置し、兼任でも週に5時間は図書館教育に専任できるようにしたことや、県立高校には正規の図書館司書を配置し、各市町村でも1/2を県が助成して、モデルの小・中3校に司書を置いていることを紹介。
石田氏は、「アメリカでは学校の中心に図書館があり、専門の司書がいる」ことを紹介し、「情報を扱うことが産業の中心になり、言葉の力を持っていることが、いかに強いかを知っている」からだと理由づけている。
更に高鷲氏は、読み聞かせについて、「読み聞かせを担任がやるから、子供たちがのめり込む。子供が喜べば、先生もますますやる気になって、授業にも取り込む。それが家庭にも浸透する。」とし、「全国の先生たちには、足しげく図書館に通って本を読んで欲しい。でないと子供に本を勧められない。」と述べている。
要は、子供の読書環境づくりには、きちんと司書の配置された図書館が何よりも必要であり、なまじボランティアに頼った読み聞かせ活動でお茶を濁しても何もならないということ。宮崎の関係者は(に限らずだが)、心すべきであろう。