恥ずかしながら、遅ればせながら、大阪行きのフェリーと天保山マーケットプレイスで、ようやく読んだ。有川浩著 「図書館戦争」 (メディアワークス)。
この時点で、図書館員としては失格か?。現役図書館員ではないから救われていると言い訳しつつ、敢えて言おう。未読の者は読むべし、買ってでも読むべし。何も私だけが褒めているのではない。「本の雑誌」が選ぶ2006年上半期ベスト10の第1位に選ばれているほどの作品なのだから。
図書館員としてくすぐりは、「図書館の自由に関する宣言」がモチーフになっていて、宣言の4項目と最後の一文「図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまで自由を守る。」が、本編5章の章題に使われていること。これだけでグッと来る。来ない図書館員などいるはずもない。
ネタばれになるから詳述しないが、エンターテイメントとして、掛け値なしに面白い。「自由に関する宣言」がこんな風に発展するなんて、軟弱な図書館員の誰が想像しよう。もちろん、図書館員でなくても十分に楽しめる。図書館員であれば、挿入される事象の端々にニヤリとさせられたり、頷いたりするはずだ。資料考証も行き届いていると感じる。
そして何より大切なのは、図書館の存在とは何なのか、読書の自由とは何なのかを、改めて考えさせてくれるテキストになっていることだ。図書館学のテキストとして、十分に通用するのではないか。
改めて言おう。未読の者は読むべし、買ってでも読むべし。