The Tree of Life

 今日まで休みを取っていたので、久々に映画でも観ようと自転車で舞浜のイクスピアリへ。シネマイクスピアリの平日初回上映1,300円で観たのは、第64回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール受賞ということで話題先行の「The Tree of Life」。

 う~ん、観る人を選ぶ映画だね。極めて観念的、宗教的な映画だし、はっきり言ってつまんない、という人も多いと思う。

 思春期を迎えた一人の少年の成長箪と彼を取り巻く家族の物語と言ってしまえばそれまでなのだが、基本的な主題は、映画の冒頭で示される「ヨブ記」にあり、それはつまり、神を信じる者の身に不幸が訪れるのは何故なのかという問いであり、神の沈黙の前にとまどう人間の根元的な姿が描かれている。

 私みたいに宗教的なバックボーンというか素養を持たない人間には、この手の主題は非常にわかりづらいので、考え考え観なきゃいけない。
 登場人物達はあまり多くを語らないが、特に厳格な父(ブラッド・ピット)と慈愛溢れる母(ジェシカ・チャステイン)の生き方そのものが宗教的に対極(世俗と恩寵)にあり、その間で育つジャック(ハンター・マクラケン、長じた姿はショーン・ペン)が性への目覚めや父への反発など思春期ならではの変調に自らとまどいつつ、どちらの生き方を選ぼうかと悩む姿が描かれているのだろう、と思う。
 描かれるシーンの多くが示唆的、象徴的である。

 映像は美しい。特に、宇宙の開闢と生命の誕生を描くシーンなどは、全く台詞が無く、クラッシック音楽だけが流れて、スタンリー・キューブリックの「2001年 宇宙の旅」を彷彿とさせる。このあたりの難解さにお手上げという人もいるだろうし、ひょっとして寝ちゃうかもしれない。

 多くの日本人には小難しい映画(だと言い切ってしまって良い、と思う)だが、たぶん、アメリカ人的には深く心に響く映画なのだろうな。ひょっとすると、アカデミー作品賞とか監督賞を取ってしまうかもしれない。☆☆☆。

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