宮崎・工芸の旅

勤め先の総会があったので、1泊2日で宮崎に出張していた。
総会の翌日は、本社の車を借りて、企業さん回り。作り手を知らなければ売る手も鈍るので。

最初に行ったのは、「伊東ロクロ工芸」。
昔通勤で毎日のように通っていた大塚町の、こんな所にあったんだ~と言うような意外な場所にひっそりと存在してた。
80歳になる親父さんと奥さんが、細々とやっている。
昔は木製の花瓶を作っていたのだが、今やそんなものを飾る家も少なく需要が激減したので、最近は県産の杉材を使って木製のおもちゃと腰枕を作っている。
おもちゃの方は、ヨーロッパの木製おもちゃに似て、機関車だったり、車だったり、積み木だったりと、ちょっと大ぶりで温もりのある仕上がり。
年金生活の親父さんが半ば趣味で作っているようなものだから、値段は類似のものに比べてかなり安い。ギフト・ショーなどの中央の展示会に出したら、たくさんのバイヤーがついて商談が次々に成立しそうなくらい。
でも、高齢の親父さん一人で作れる量は限られているし、後継者もいない。じつにもったいない。

次に行ったのは、「黒木クラフト工房」。
国富町の中心街を通り過ぎて、綾に向かう途中の右手、あまり人目につかないところに工房とギャラリー、母屋がある。
元々は建築家だったご主人が、せんだんや杉で、弁当箱や小物入れといった箱ものを中心とした作品を作っている。
拭き漆で仕上げたものもあるし、塗装をかけたものもあるが、細工が精緻でクオリティの高い仕上がりになっている。値段もそれなりに高い。
単独でギフト・ショーにも出られており、あちこちから注文が入って、結構忙しいらしい。宝石商から、商談に使う装身具を入れる箱の注文を受けた話なども伺った。
ご主人の物作りに対するしっかりとした見識や姿勢が、その作品にも反映されている。
今はまだ一人だが、そのうち弟子でも取ってもう少し規模を拡大していけるのではなかろうかと感じた。

宮崎にも、いい物作りをされる方はたくさんいる。
ただ、なかなかプロダクトの域に達しないので、宮崎の工芸は全体としていまいちだと思われている。それが何故か残念。

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