ブログに書くのが遅くなってしまいましたが、先日、図書館界で話題の映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を観るために、鹿児島まで行ってきました。
話題の映画とはいえ、そうそう客を呼べる映画ではないので、全国の小さな映画館で順次上映されていて、宮崎では「宮崎キネマ館」で9月23日から10月4日までの上映予定。
それが、鹿児島のマルヤガーデンズ7階にある「ガーデンズシネマ」では、8月29日から9月2日と一足早い。しかも、8月31日(土)の上映は、今をときめく都城市立図書館の前田小藻副館長のトークセッションもあるというから、わざわざ行く価値があるというもの。
ということで、「ガーデンズシネマ」に事前に連絡してチケットの取り置きを頼み、2枚きっぷを購入して電車で出かけてきました。
それで、『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』。
上映時間が3時間25分ととにかく長いです。途中で5分程度のインターミッション(休憩)が入りますが、体調を整えていかないと、ちょっとしんどい長さ。これ以前にインターミッションのある映画を観たのがいつだったか調べてみたら、1984年公開の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』以来だったようで、なかなか無いことではあります。
しかし長いのには理由があって、ニューヨーク公共図書館は、4つの中央図書館に加え、大小合わせて88の地域分館と、4つのリサーチ・ライブラリー(専門図書館)を有する巨大図書館網なのです。
そこで毎日、様々な活動が行われ、実に多様な人々が利用しているのですから、ちょっとずつ切り取ってもかなりのボリュームになります。
紹介されるコレクションもすごいのですが、中央館の玄関ホールで作家のトークセッションが行われ、訪れた人が立ったまま聞いていたり、エルヴィス・コステロやパティ・スミスなどの著名人のトークショーが行われていたりという華やかなイベントの一方で、資料を利用したり端末を使って情報資源にアクセスする利用者の姿があります。
監督のフレデリック・ワイズマンは、2016年にアカデミー名誉賞を受賞していて、ドキュメンタリーの巨匠と称されているらしいですが、各館で行われている活動を、図書館の外の喧噪も含めて、コラージュ的にある意味淡々と切り取り繋いで行きます。
特筆すべきは、ここが「公共図書館」であること。NPOが運営し、費用についてはニューヨーク市の予算と民間からの寄付で賄われています。
映画の中では、法人の理事による予算獲得のための会議の模様が頻繁に映し出され、職員集会で市の予算を獲得するために行動を起こそうというアジテーションが行われたりするシーンもありました。
行政から独立しながら、市民の情報リテラシーを上げるために、図書館自らが高速なネット環境の整備を行うという取り組みを行うあたり、さすがにアメリカという感じがします。
一口に「図書館」と称するものの活動の全てがこの映画の中にあると言っても過言ではありませんが、この図書館で働いている人々が、実に生き生きと誇りを持って利用者と接し、日々図書館の活動を充実させるために取り組んでいることが強く印象に残りました。
繰り返しになりますが、宮崎では「宮崎キネマ館」で9月23日から10月4日までの上映予定。
日本一の読書県を目指す関係者はもちろん、普段から図書館を利用している人も、図書館使ったことないしいらないんじゃね?と思っている人も、多くの人に観ていただきたい、司書的に絶賛オススメの映画です。