「その9 日本人墓地公園~ラクサで昼食」から続く。
美味しいラクサをいただいた後、石田君の車は、シンガポール南部にあるレジャーアイランドのセントーサ島へ。
FORT SILOSO (シロソ砦)
カジノやユニバーサルスタジオ、ゴルフ場、ビーチなど様々なエンターテイメント施設のあるセントーサ島ですが、石田君がまず案内してくれたのは、島の西端にある「FORT SILOSO (シロソ砦)」。
1880年代にイギリス軍がシンガポール港の防御のために築いた要塞で、1942年2月の日本軍との戦いで陥落した戦跡です。
現在は、当時の遺構を生かした「シロソ砦戦争記念館」として公開されています。
まず、駐車場の近くのスカイウォーク入口からエレベーターで上に上ります。
高い所が苦手という石田君の話によると、シンガポール人はスカイウォークが大好きで、いろんなところに無駄にスカイウォーク作るらしいのですが、上に昇ると、南側にはこんな光景が広がっていました。
沖合には、入港を待つ船がずらりと並んでいて、なかなかの壮観です。
何せシンガポール港は、コンテナ貨物取扱量で世界第2位の港(第1位は上海港(2018年))。
日本で1位は東京港(世界では35位(2018年))なのですが、その8倍、年間約3660万TEUのコンテナを取り扱います。
同じ場所から反対側、シンガポール本島側を望むとこんな風景が。
豪華客船が停泊している奥に、本島からセントーサ島に渡るケーブルカーが見えます。
スカイウォークを奥へ進むと、シロソ砦の入口に到着。
広い敷地に点在する要塞の遺構を生かしながら、当時使われた大砲などが、人形などとともにリアルに展示されています。
場所によっては、人が近づくと自動的に音声が流れる仕掛けがほどこされていたりして、なかなか凝った展示になっていました。
こんな風に、対艦射撃用の6インチ砲と人形がリアルに配置してあったりする訳です。
これは、イギリス軍が使っていた9.2インチ砲の砲身。
こんなのがあちこちにごろごろしてましたが、ミリヲタでもないので、華麗にスルーしました。
日本軍の攻撃により陥落したこの要塞は、その後イギリス軍兵士の収容所として使われたりしたそうです。
日本の戦争遺構って、殆ど手も入れられず風化にまかせてボロボロな所が多いのですが、ここは公園としてきれいに整備されていて、訪れる人も多いようでした。
シロソ砦から駐車場に戻る途中、海沿いの道を通った時に見えた風景。
対岸のビルは、本当に湾曲する形で作られていて、ビルとビルの間にスカイウォークも見えます。こういう無駄というか遊びに溢れているのがシンガポールのビルの特徴でもあります。
手前の船は、観光クルーズ船ですね。
アジア大陸最南端地点!?
シロソ砦から駐車場に戻りましたが、まだ時間があるので、そこからビーチの方に下りてみました。
写真の右上あたりに駐車場があり、全室オーシャンビューのリゾートホテルの下一帯が、シロソビーチ。
セントーサ島の南西部は、このシロソビーチから南東数kmに渡ってビーチが整備されており、シンガポール人や観光客が、海水浴やアクティビティを楽しむことができるスポットになっています。
海岸線に沿った道路には、セントーサビーチトラム(Sentosa Beach Tram)という無料で乗れる周遊シャトルが10分間隔で運行されているので、それに乗って、「The Southermost Point of Continental Asia (アジア大陸最南端地点)」があるというパラワンビーチへ向かいます。
パラワンビーチに着いたら、植え込みの中にちょっと古ぼけつつある看板がありました。
ここが最南端地点なのかと思ったら、石田君がもっと先だと言うのです。
なんと、ビーチのちょっと沖に砂の小島があり、そこまで吊り橋がかかっているではありませんか。
小島には、展望台が2基あって、その間をスカイウォークが繋いでいたりします。
ちょっと揺れる吊り橋を渡った先に、「THE SOUTHERNMOST POINT OF CONTINETAL ASIA」と書かれたフォトポイントがあったので、とりあえず記念撮影しました。
しかし、シンガポールそのものが島国で、セントーサ島はその南端の島。さらに、この看板がある地点は、セントーサ島のビーチから吊り橋で渡る島なので、Continetal Asia(アジア大陸)と地続きではないんですよね。
しかも、地図で確認したら、ここはセントーサ島の最南端でもありませんでした。
いいんですかね?こんなアバウトなことで(笑)。
ちなみに、真の意味でアジア(ユーラシア)大陸の最南端地点は、マレーシアのジョホール州にあるタンジュン・ピアイという岬の先端だそうです。
Haw Par Villa (虎豹別墅)
「The Southermost Point of Continental Asia」から再びビーチトラムに乗ってシロソビーチに戻り、石田君の車に乗ってセントーサ島を後にしました。
次なる目的地は、「Haw Par Villa (虎豹別墅)」。
かつては「Tiger Balm Garden (タイガーバーム・ガーデン)」と呼ばれていたここは、「Tiger Balm(虎標萬金油) 」という世界的に有名な軟膏で財を築いた実業家Aw Boon Haw(胡文虎)とAw Boon Par(胡文豹)の兄弟によって建設されたもので、1937年に開園しています。
タイガーバーム・ガーデンは香港にもあって、かつて新婚旅行で香港に立ち寄った際に訪れた記憶があるのですが、2000年に閉園しちゃったみたいですね。
それでこの「虎豹別墅」ですが、結構広い敷地の中に、中国の儒教・道教・仏教や、様々な伝説・説話等をモチーフとした数多くの像とかジオラマがあちこちに展示されています。
十大地獄の様子を表したおどろおどろしいものや、『西遊記』をモチーフにしたものなど日本人にもわかりやすいものから、何となく言わんとしていることはわからなくも無いけど出典がわかるともっと理解できるのだろうなというもの、はたまた全然理解できんわというものまで、多種多様。
とにかく、極彩色でサイケでキッチュでグロテスク。
なんとなく不安で落ち着かない雰囲気が漂っていて、異世界感満載。
ちっちゃい子ども連れてきたら、阿鼻叫喚で悲惨なことになりそうですが、意外と子ども連れもたくさんいました。
創設者の胡兄弟の精神世界を反映しているらしいのですが、いやいやどんな人達だったんでしょうね?
胡兄弟は金出して造らせただけなので、これらの像を実際に造った造形作家というか職人さん達も大勢いるはずで、それが揃いも揃ってへたうま感に溢れていることに逆に驚き。
何故か、相撲の力士像もあったりして。横綱の土俵入りの場面なのかな?
私の感性だと、一回行ったらお腹いっぱいになっちゃって、もう次は無いかなと思いましたが、入場無料だし、話の種に一回は行ってみるべきなのかも。
「その11 最後の夕食~帰国」へ続く。”