学校図書館の課題

 実に久々の図書館ネタ。

 本日付け讀賣新聞の13面(解説)に、「学校図書館の課題」と題して、活字文化推進会議事務局の和田浩二氏によるレポートが掲載されている。
(記事PDFはこちら)

 「言語力の育成」をうたった新しい学習指導要領が今年度からスタートし、学校図書館の役割が増しているが、文部科学省の調査によると、学校司書不在の小中学校が半数以上に達するなど多くの課題を抱えていることが明らかになった、とのこと。

 記事で模範事例として伝えられているのが、東京・荒川区の取り組み。荒川区では、区内34小中学校に司書を配置、更に希望校には区教委の「学校図書館支援室」から指導員(元司書教諭など)が出向いて調べ学習の授業を行ったりしているという。
 また、小学校で図書館担当職員の配置率が99.5%と都道県別で最も高かった島根県(中学校でも96%、全国3位)では、2009年度から職員を雇用する費用を市町村に助成したり、教諭を対象に司書教諭の資格取得を奨励しているほか、ボランティアの協力を仰ぎ、利用しやすい図書館に改造する動きも盛んとのこと。

 一般的にこうした行政の取り組みは、財政が豊かだからと捉えられることが多いが、この記事では、
「財政難はどこも同じ。首長が教育を重視しているかどうかの差ではないか」
という高鷲忠美・八洲学園大学教授の言葉を伝えている。

 こうした模範事例の一方で、全国の小中学校約32,000校中、司書などの担当職員がいない学校は55%に上り、4校に1校は担当職員、司書教諭ともに不在で、司書教諭がいる場合も学級担任などとの兼務がほとんどと現状を伝え、そのことによって開館時間が短かったり、目当ての本が探せなかったりして子ども達の足を図書館から遠のかせる要因になっていると指摘する。

 記事の元になった調査について、文部科学省のサイトで公表されている。
平成22年度「学校図書館の現状に関する調査」の結果について

 これを見ると、宮崎県における学校図書館担当職員の配置率は、小学校で40.1%、中学校で43.8%といずれも全国平均をやや下回り、九州でも下位に位置している。
 言語力育成のために欠かせない学校図書館の整備、さ~てどうする?、宮崎県!

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