ふるさと納税について、ちょっとばかり考えてみた

Mfnetのふるさと納税勉強会

Mfnet(Miyazaki fun! network)という若手(中堅も多くなってきたけど)公務員の勉強会組織があって、その54回目となる勉強会「徹底検証! 2,884億円のふるさと納税の功罪」が若草hutte & co-ba Miyazakiで開催されたので、ふるさと納税についてちょっと勉強してみようと思って出かけてきました。

大半の参加者が県庁や市町村役場の若手職員で、ふるさと納税というテーマ設定も良かったのだろうと思いますが、意識の高い職員が多く、そのネットワークがしっかりとできていることを嬉しく思いました(完璧な上から目線w)。

勉強会は、FAAVOというクラウドファンディングプラットフォームと、その延長線上にあるF×G(エフバイジー)というGCF(ガバメントクラウドファンディング)プラットフォームを運営している齋藤隆太さんから、ふるさと納税の歴史や現状について学んだ後、齋藤さんのコーディネートで、市町村のふるさと納税担当者お二人からお話を伺うという流れでした。

オフレコの話もあったので詳細についてはここでは書きませんが、トップクラスの市町村は、100億円前後の寄付を集めていることには驚かされましたし、県内にはトップクラスに位置づけられる市町村が複数あって、他の市町村にとってはそのモデルが高い目標となってプレッシャーをかけられている実態も知ることができました。

ふるさと納税については、自治体間の獲得競争の中で返礼品の割合が高率になったり、その自治体とは無縁の返礼品が設定されたりと、制度本来の趣旨とずれた運営が行われる例も多くなってきたことで、総務省が指導を強めてきているのですが、自治体サイドには各自治体ごとに異なる地域課題があり、その課題を解決するツールとしてふるさと納税という制度をどのように使うかということで、制度に向き合う態度が異なるということがあるようです。

ふるさと納税専門サイト

しかし現状は、ブランド米やブランド牛肉といったワンランク上の食材を中心に、全国の特産品を実質的に安価に入手できるということで関心が高まってきていて、市場が拡大してきているので大手の事業者も参入して、様々なWebサイトが立ち上がっています。
これらのサイトを見ると、一部はまるでお買い物サイトのようで、牛肉で検索して全国のブランド牛を渉猟したりすることが簡単にできるようになっています。
それはそれで、消費者にとっては便利なことではあるのですが、特定の地域の施策を支援したり応援したりするための寄付という、ふるさと納税の本来の目的は、どこか脇に追いやられているようです。
この現状が、返礼品競争を煽っていると言っても過言ではないでしょう。

こうなると、完全に物の評価だけでリピートするかどうかが決まってしまいがちですし、飽きやすい消費者の性行からすると、リピート率はさほど高くならない気がします。

そこで勉強会の中で、市町村のふるさと納税担当者の方に、
「納税(寄付)をしてくれた方に対して、そのお金で自分たちの自治体でこのような施策ができましたとか、このように使われましたとか、報告をすることがあるのか?」
という質問を行ったところ、それぞれの市町村のWebサイトに総括的にレポートされることはあっても、個別には行われていないということのようでした(全国的に見れば、やっている自治体もあるのかもしれませんが)。

これ、実にもったいないと思うのですよね。
折角、特産品を通じて縁の出来たお客様なのですから、それが特産品だけの縁ではなくて、自治体そのものに縁を感じてもらえるように、それぞれの皆さんに宛てて、礼状とともに、納税(寄付)の成果を報告するべきだと思うのです。
それによって、納税(寄付)した自治体の施策への関心が少しでも高まり、次もまたこの自治体を応援しようとか、何なら訪ねて行ってみようとか思ってもらえるのではないでしょうか。

もちろん、返礼品を送付する際に、市町村長名のお礼状たったり、その自治体の観光パンフレットだったりは同封されているとは思うのですが、それとは別に、後日、お金の使い途をきちんと報告することは、この制度にとってとても大事なことだと思うのです。

こうしたことは、ふるさと納税の実務を代行してくれる事業者に任せきりだとおろそかになりがちなので、取り組む自治体側の最初の制度設計の部分が大事ですし、担当者の熱意も必要だと思ったというのが、勉強会での私の総括でした。

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