宮日さん読書通帳は西都市立が九州初ではないと思うのですよ

本日(2018.11.21)付け宮崎日日新聞の児湯・西都面に、西都市立図書館に新しい図書館システムが導入されたことを伝える記事が掲載されています。

20181121宮日記事

この記事、大見出しが、
読書記録に「通帳」導入 九州初
とあります。
金融機関の預金通帳のような形状の通帳で、「表紙のデザインは市内の児童生徒から公募したロゴマークの最優秀作品を採用した。」とのこと。
「12月には市内の小中学校に通う児童生徒に配布する予定」で、図書館に設置されている機械に通せば、借りた本のタイトルや日付、著者名などを記帳できるそうで、児童生徒以外にも希望者には配布されるようです。

「読書通帳」については、図書館の自由との関連で、利用者の秘密をどう守るのかという観点から考えると、その導入には慎重であるべきというのが私の立場ですが、一方で、自分が読んだ本の記録を残したいという利用者のニーズがあることも確かで、そのあり方はなかなか難しい問題をはらむのですが、ここではいったん置いておきます。

今回の西都市立図書館の新システムは、「富士通マーケティング(東京都)のクラウドサービスを採用。」とあることから、「WebiLis」が採用されたことがわかりますが、画期的なのはそれに続く、
「導入後は、同館と市内の15の小中学校(分校含む)の図書室をクラウドサービスでつなぎ、図書室から同館の蔵書を手軽に借りられるようになった。」
の部分です。
各学校の図書室の端末から、子ども達自身が市立図書館の蔵書を検索し、予約することができるようになっているみたいで、更に、
「予約した本はこれまで利用者が同館に直接受け取りに行くしかなかったが、今後は同館が各校に直接届けるという。」
ことで、公共図書館と学校図書館が一体となった図書館網が構築されたことがわかります。
これは、県内では初ですし、全国でもあまり先例がないのではないかと思います。

私は常々、これからの公共図書館は、学校図書館との連携が鍵で、システムを統一することで、費用の面でも、利用の促進の面でも効果があると説いてきたのですが、それがどうやら実現したようです。

記事でも、市社会教育課の鶴丸ユカリ課長補佐の
「市域の広い西都にとって、読書環境の地域格差は大きな課題。新たなサービスが格差解消に役立てばうれしい」
というコメントが紹介されているとおり、図書館サービスの拡充に資すること大いに期待できる、ものすごく画期的なシステム導入なのに、見出しは「読書通帳」ですか。
宮日さん、目の付けどころが違うのではありませんか?

しかも、大見出しの右上に小さく「九州初」とありますが、私がちょっと調べてみただけでも、今年の7月20日に鹿児島県の徳之島町立図書館で導入されていることが南海日日新聞で伝えられ、それがYAHOO!ニュースで転載されており、明らかに九州初ではないことがわかるのですよ。
「町立図書館、読書通帳を導入 1週間で125人が登録 鹿児島県徳之島」(YAHOO!ニュース)

記事には、「同館によると、同様の取り組みは九州の図書館では初めて。」とあるので、西都市サイドの公表のようですが、西都市サイドは本当に「読書通帳」の導入を九州初と言ったのでしょうか?

仮にそうだとしても、ちゃんと裏を取れよと言いたくなります。取材した記者の責任なのか、デスクの責任なのかわかりませんけどね。

ということで、西都市立図書館の新しいシステム(公共図書館と学校図書館との連携)は、「読書通帳」を抜きにしても「日本一の読書県」を目指す宮崎県の救世主となるかもしれない可能性を秘めており、今後の動きに要注目なのです。

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