図書館システムのクラウド化[序章]

 旧知のI氏から、
「図書館システムの共同利用、言わば地域版SaaSのようなことは、考えるに値するかどうかのご意見をいただけないか。」
との問い合わせがあったので、
 「私でお役に立てるのであれば。」
とOKの返事した。
 とは言っても、図書館の現場を離れて久しいので、最近の図書館システムや書誌データの流通などについて知らないことが多くなったので、これまた旧知のSEで図書館業界とのつきあいが長いO氏に、
 「いろいろ教えてちょうだい。」
とメールした。
 O氏からは、
 「それじゃ、別途時間を設けるから、2週間後に某所の会議室で。」
とすぐに返事来た。さすがにできるSEは仕事早い。

これでI氏への返事も問題なかろうと思ったものの、O氏に教わるだけでは付け焼き刃もいいとこだから、自分でもちょっとは勉強してみなきゃと考えてググってみた。
 そこで見つけたのが、三菱総研の狩野英司氏と吉田大祐氏による提言論文「図書館システムを取り巻く課題と今後の展望~「図書館システムに係る現状調査」の結果をを踏まえて~」
 全国1,739館の図書館を対象にした図書館システムに関するアンケート調査の結果を踏まえて、最近の図書館システムに関する現状と課題がよく整理されていて、大変参考になる。結論は、「システムを共同化してクラウドにすべし」ってものだし。
 早速I氏にメールで、
「結論から先に言うと、検討する価値は大いにあって、上記論文が参考になるから読んでみて。」
とお知らせしておいた。これで彼も私のことを仕事の早い男だと再認識したことだろう(爆)。

 でも、図書館の世界って、システムだけ共通化すれば済むってほど単純な世界ではない。 まだ私自身もよくわかっていないのだけど、書誌データを共有するとなった時、既存のデータは市販MARCを購入して作ったものが多いはずだが、結果的にそれにただ乗りしてしまう図書館が出るってことは、MARC会社サイドから見て問題はないのかな?。共通化後に買うMARCは、誰がどのように費用負担するのかな?。
 MARCと連動しているはずのリアルな本の購入と装備も共通化した方が良いと思うけど、それぞれの図書館が地元の書店を通している購入のルートをどのように整理できるのだろう?。
 システムの共通化だって、図書館毎のローカルなルールをシステム上に反映させるために、システム開発者側にきちんと自館の状況と要求を伝えられる人が図書館側に必要なのだけど、全ての図書館にそういう人材がいるかというと、それもなかなか難しいところだ。 
 その辺の、現場レベルの難しさといったところを、O氏と会って勉強してきたいと思う。

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