仕事から帰宅すると、千年書房という福岡市の出版社から宅配便で書籍が届いていた。開けてみると、『九州図書館史』(西日本図書館学会)とあり、西日本図書館学会九州図書館史研究委員会委員長の岡村繁氏の謹呈の栞が挟んであるが、それ以外には手紙も何も無かった。
もう8年も前になるので定かではないが、「九州各県の図書館史をまとめるプロジェクトがあるので、宮崎県の公共図書館の部分のまとめを引き受けて欲しい」との依頼を、当時県立図書館におられた小野和道氏(ひょっとすると氏が退職された後だったか)から受け、小野氏が日本図書館協会の『近代日本図書館の歩み』の宮崎県編の執筆のために集めておられた資料と原稿を引き継ぐ形で、お引き受けした記憶がある。
1992(平成4)年に、引き継いだ資料と、新たに県立図書館の書庫の奥から探し出した史料などを参考にしながら、小野氏の原稿をベースに自分なりの視点を加味しつつ宮崎県の公共図書館の歴史をまとめ始め、1960年代くらいまではなんとかまとめたが、1970年代以降は、時間が不足してまとめきれなかった。
中途半端なままの原稿は、プロジェクトの推進主体であった西日本図書館学会の研究委員会にとりあえず提出し、その後加筆するつもりであったが、学会からは1993年(平成5)年以降、研究委員会に呼ばれることも、原稿についての問い合わせも無く、私が図書館を離れたこともあってそのままになってしまい、いつのまにかプロジェクトは消滅したのだろうと思っていた。
それが、今日、このような形で上製函入りの本として目にするとは。序文にもあとがきにも、上梓が遅れた理由は記載されておらず、なんだか狐につままれたような感じ。私と平行して学校図書館の歴史をまとめておられた山田安秀先生(当時宮崎北高校)は既に亡く、宮崎県のとりまとめをされた研究委員の大里坦先生(当時宮崎産業経営大学)も1997(平成9)年に亡くなられたことをあとがきで知った。割り切れないものを感じる。
未完の原稿は、ほぼそのままの形で掲載されており恥ずかしい限りではあるが、今更どうこうしようもない。2002年が宮崎県立図書館の開館100周年に当たり、それがそのまま宮崎県における公共図書館の100周年とも言えるので、それまでには、100年の歴史を整理し直して、このWebサイトで公開したいと思う。