2002.2.11(Mon.)

 本日付け宮崎日日新聞の文化面「ファイル2002」に、「図書館の役割」と題する記事。
 宮部みゆきの『模倣犯』や『ハリー・ポッター』シリーズなど、図書館で予約が集中して7ヶ月も待ちになっている状況に触れ、作家の楡周平や日本ペンクラブなどから出された、著者の利益を損なうという図書館の大量購入批判と、これに対して、図書館による購入が出版流通へ与える影響は小さいことを、日本図書館協会松岡総務部長への取材でまとめている。
 記事は更に、フリーライターの永江朗氏の言葉として、「読みたい本をリクエストするのは納税者の当然の権利だが、程度問題だ。(ベストセラー本の購入で)図書館が買わない本が増えれば、利用者にとってはアクセスできない情報が増えることになる」「図書館は本にこだわらずに情報を提供する役割が求められている」とし、東京大学大学院の根本彰氏(図書館学)の言葉として、「貸し出しを中心とするサービスモデルは、地方都市などではまだ有効だろうが、少しずつ変えていくべきだ。商業的な出版物だけでなく、売られていない地域的な資料などの幅広い提供、インターネットを使ったサービス、資料のデジタル化など、地域の情報拠点としての役割も必要だろう」と伝える。
 これに対し、前出の松岡は、「貸し出しは基礎的サービス。きちんと努力しないと、ほかのサービスも伸びるはずがない」とする。
 いずれの意見もごもっとも。どれが正解ということではなく、どれもが正解に思える。記事は、最後に次のようにまとめる。
 「自治体の税収が伸びず、資料費減額、司書が十分配置されていない状況の中で、公立図書館の基盤を強固にするという点では、著作者、出版社、図書館、利用者の協調が不可欠になっている。」

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