県立図書館の話題2題

 一つめは、7月8日(土)付け朝日新聞の宮崎面に、県立図書館が、今月から借り出された資料の延滞限度期間を従来の90日から30日に短縮したとの記事掲載。
 期間を過ぎても返却しない利用者に対しては、延滞が90日を過ぎると利用カードを失効させてきたが、その期間を大幅に短縮するというもの。悪質な延滞者や常習者が絶えないため、対策を強化したという。
 その記事の横には、蔵書の無断持ち出しや汚損、切り抜きなどの被害が増加、悪質化していることを伝える記事も掲載。
 昔から、公共図書館にはつきものの事象とはいえ、れっきとした犯罪行為で、決して許されることではない。基本的には利用者のマナーの問題なのだが、そのマナーを身につけてもらうためには、小さい頃からの図書館利用の習慣づけも必要かと思う。

 二つめは、宮崎日日新聞に連載中の松形祐堯前宮崎県知事の回想録「たゆたえども沈まず」が、7月9日(日)の第126回で、現在の県立図書館の建設の経緯に触れている。
 その中の図書館の書架に触れられた部分を引用する。

 図書館の内部にもいくつもの工夫が凝らされた。例えば、一般の入館者が利用する書架は、県産材のシイが使われた。耐久性にすぐれ、親近感があるうえ、多量に調達できるところを買われた。色は木の肌を生かし、床や壁などのつり合いを考えて黄土色が選ばれている。家具メーカーの方々の知恵である。
 女性にやさしい書架になっている点にも特色がある。高さ1.8メートル、棚は5段。高からず、低からず、負担にならない寸法だ。一目では気づかない「思いやりのある本棚」というところである。

 県立図書館の書架は、確かに県産材を使った立派な書架なのだが、残念な点がいくつかある。
 まず、棚板の奥行きが深すぎて、見た目で資料よりも棚の方が勝ってしまっているところである。棚板から少しくらい本の背が飛び出すくらいの奥行きが、本を生き生きと見せる上で望ましい。
 それから、棚板の奥にある背板が、上から下までしっかりと繋がっているので、本の奥の向こう側が全く見通せない。高さが1.8メートルもある高書架だから、利用者の視線は背板で遮られて圧迫感がある。決して女性にはやさしくないと思われる。
 棚板の奥行をあと5センチ狭くすれば、閲覧室にもう一列、書架を増設することも可能だったと思われるし、目線の位置にある背板を機能に支障のない範囲で抜いてやれば、書架と書架の間が見通せて、もっと明るく開放的な雰囲気が出せたはずである。
 現在の県立図書館の閲覧室にある書架は、実は公共図書館が真似てはいけない書架の代表例なのだ。

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