宮崎は雨

乗るのは最終便なのだが、雨が降っている上に携帯の電源も切れたので、早めに宮崎空港に移動して、到着ロビーの一角でこれを書いている。
電源と無料で使える無線LANがあるので、こんな時便利だ。

宮崎に滞在している間、口蹄疫の広がりは衰えを見せず、事態は深刻になるばかりだ。
ワクチンの使用とエリア内の全頭殺処分も決まって、今日からワクチン接種が開始された。

この3日間でいろんな人に会い、いろんな話を聞いた。
県庁の中でたくさんの自衛隊員の姿や報道陣の姿も見た。
「政治主導」という言葉の無力さや欺瞞も痛切に感じた。
ひとつの事実とそれを見る視点の違いによるたくさんの真実。
限られた情報が生む憶測や推測が拡散し、いらぬ批判につながり、その批判に対して新たな怒りや無力感がうまれてまた拡散して行く。

皆、悩んでいる。姿の見えない敵の前で、徒手空拳にも見える努力をいつまで続けなければならないのか。
重苦しさが宮崎を包んでいる。
出て行きたいが出て行けない、たくさんの人に来て欲しいが大きな声で自信を持ってそれを言えない、そんなアンビバレントな空気が覆っている。

それでも、次のステップのために、前を向いて努力を続けている人々がたくさんいる。
募金箱はあちこちにあり、自分たちにできることは何かないのかと、一生懸命に考えている人々がいる。
中には心ない中傷も無理解もあるようだし、強すぎる思いが空回りすることもあるようだが、多くの善意が宮崎を支えようとしている。

今、宮崎は雨。
しかし、その雨もいつかは上がる。
晴れ間が覗き陽が差すことを、他の大勢の人々とともに私も願う。
今日も明日も、宮崎のために自分ができることを精一杯やろう。

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