宮崎に出張に行ったりしてたので、待合室とか機中とか暇な時間が結構あったため、先週から文庫3冊は読んでいるのだが、旅先では飲んでたし、帰ってきてからもワイン空けたり忙しかったりで、なかなか読書日記を書く暇がない。読んだ本全部書かなきゃならない訳でもないんだが、書くことも修行のうちだしね。
ともあれ、今回のご紹介は、浦安市立図書館の文庫棚933を漁って見いだした、ブライアン・フリーマン著「インモラル」(ハヤカワ・ミステリ文庫)。
図書館で手に取った理由は、適度に分厚かったことと、「マカヴィティ賞最優秀新人賞受賞作」という惹句に惹かれたため。
厚さは結構大事。薄いとすぐに読めてしまうので、なんか損した気になる。上下2分冊という本もあるのだが、分冊より1冊にまとまっている方が好み。前を見直したりする時に巻が違うと確認に手間取るし、場合によっては持ってなかったりするから。その点本書は40字×18行の全635ページと、なかなかに読み応えがある。唯一の問題は、ほぼ日手帳のカバーを流用しているブックカバーが厚すぎてかけられないことくらいか。
マカヴィティ賞は、国際ミステリ愛好家クラブ(Mystery Readers International)が主催するミステリ向けの賞なんてのは、後から調べてわかる話であって、本書を手に取った時にはそこまで知らない。でも、なんとなく面白そうな予感はするじゃない。
ま、そんなことはさておいて、中身の話である。
ダルースの街で周りの男がみんな振り返るほどの美貌と魅力を持った女子高校生レイチェルが突如姿を消し、14ヶ月前に発生した別の女子高校生の失踪事件を追う刑事ジョナサン・ストライドが捜査に当たる。
家出かと思われたレイチェルの失踪は、殺人事件と判断される証拠がみつかり、彼女の継父が逮捕されて裁判となるが、その公判の途中でレイチェルの母親が夫であるその継父を刺殺する事態となる。
その3年後、ラスヴェガス郊外で若い女性の遺体が発見され、それがレイチェルだと特定されたことで、過去の事件の全容が次第に明らかになっていく。
セックス、妄執、復讐心が渦巻き、意外な展開の連続に、家族とは、愛とは何なのかという問いを折り重ねながら、複雑な物語が紡ぎ上げられていく。
個人的には、主人公である刑事ストライドの恋愛話は余計だと思うが、その点を除けば、よく練られた上質のミステリになっている。☆☆☆☆。