今回の通勤電車内読書は、ロノ・ウェイウェイオール著「人狩りは終わらない」(文春文庫)。
ポートランドを舞台に、ワイリーを主人公とするハードボイルド・シリーズの2作目で、前作の「鎮魂歌は歌わない」を読んだ時点では、刊行予定とアナウンスされていてまだ出ていなかったのだが、先週、浦安市立図書館中央館の933文庫棚を漁っていて、偶然にも出くわした。良かったよ、続きが読めて。
娘を失って、その復讐を果たした前作から1年後、相変わらず定職に就かずポーカーで日銭を稼ぐワイリーだが、彼のポーカー仲間でもあるドゥーキーが、ポートランドのエスコート・サービス業界を牛耳ろうと、1作目にも登場した太っちょジョージを殺し、前作でワイリーを助けてくれた娼婦のミリアムを食い物にして連れ回し、彼女の客を相手に非道な振る舞いを行っている。
そんなミリアムから助けを求める電話をもらったワイリーは、彼女を助けるために、相棒のレオンとラスヴェガスへ赴くことになる。
相変わらず何をやらせてもそつがなく格好の良いレオンに対し、ワイリーは、ついてないポーカーよろしくなかなか事がうまく運ばない。折角ミリアムを取り戻したと思っても、つきまくっているドゥーキーに見つかって、ボコボコにされてしまう。しかし、そこはしっかりレオンがフォローするのはお約束。
ハードボイルドのヒーローとしては決して似つかわしくないワイリーなのだけど、その駄目親父っぷりの根底にワイリーなりのこだわりがあり、そこには彼の過去が影響しているらしい。
本作では、そのワイリーの過去が、少しずつであるが明らかにされる。
悪の権化たるドゥーキーのつきは果たしてついえるのか、待ち受ける意外な結末。
淡々とした筆致に、愛に生きようとして果たせない男や女達の哀しみを乗せて、物語が進む。悪党パーカーに捧げられた本作は、非常に映画的でもあり、テンポ良く読み進められて、☆☆☆☆。
三部作らしいワイリーの物語、早く次が読みたいものだ。