ドキュメンタリー映画「中村地平」

ドキュメンタリー映画「中村地平」

ドキュメンタリー映画「中村地平」が完成し、宮崎では県企業局や県立図書館、都城市立図書館での試写会が終了して、4月12日(金)から宮崎キネマ館での上映が始まります(4月25日(木)まで)。

中村地平ドキュメンタリー映画 公式サイト

地平さんは、第二次世界大戦後すぐに宮崎県立図書館長を務めた、宮崎図書館界の大先輩で、この「徒然日記」でもたびたび取り上げてきました。

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なので、このドキュメンタリー映画も早く観たいなと思っていたのですが、生憎と宮崎での上映期間には宮崎に滞在することができず、5月25日(土)に東京虎ノ門の台北駐日経済文化代表処台湾文化センターで行われる上映会まで待たなければならない状況でした。

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そこへ、この映画を監督された小松孝英さんから、関係者用の映像を観ますか?という案内をいただき、ありがたくYouTubeで限定公開されている映像を拝見することができました。
私も映画の作成に当たって資料を提供している関係者で、ありがたいことにエンドロールにも名前を入れていただいています。

映画は、中村地平の生い立ちから逝去までを、遺されている写真や資料、地平を知る関係者の証言を軸に、宮崎や台湾ロケの映像と重ね合わせながら紡いで行きます。
中でも、地平と台湾との関係が核になっています。

地平さんが亡くなったのは1963年2月26日。60年以上が経過して、地平と同時代に生きた人々が高齢となり、中には鬼籍に入られた人もいる中で、その証言を映像として遺すのはほとんど最後の機会だったと言えるでしょう。
間に合って良かったと、正直思いました。地平館長の下で司書を務めた久保輝巳さんなど、お話しを伺いたかったのに間に合わなかった方も多いのですが。

図書館人としては、図書館のパートが短かったのがちょっと残念で、元県立図書館司書の小野和道さんには、宮崎空襲の話題よりも図書館長・中村地平を語って欲しかったのですが、個人の一生を短い時間にまとめるという編集の都合もあって、泣く泣くカットされた映像も多いのではないかと推察します。

アサギマダラ
資料画像:アサギマダラ(出典:Photo AC)

映画の所々に、蝶の映像がインサートされるのが、「蝶の画家」とても知られる監督の小松さんらしいところだなと思いましたが、その蝶の一部にアサギマダラの映像が使われるのも、流石だなと思いました。
アサギマダラは、台湾や南西諸島と日本本土との間を長距離渡る蝶として知られており、日本と台湾の架け橋となる地平のイメージと重ね合わせられているのですね。

戦後宮崎の文化振興や経済発展に貢献した中村地平は、残念ながら宮崎での顕彰は進んでおらず、その存在を知らない宮崎人も少なくないので、是非とも多くの皆さんにこの映画を観て欲しいと思う次第です。

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