図書館と学校との連携

本日付け宮崎日日新聞の社会面に、「学校との連携活発化」という大見出しで、県総合博物館と県立図書館の学校支援の記事掲載。

県総合博物館は、学芸課職員を高校の授業へ派遣する出前講座を企画。第1回目の出前講座が、来月にも宮崎市内の高校で行われるとのこと。

県立図書館は、教師へ教材作成や進路指導時などの情報収集支援をアピールするとともに、本年度から学校図書館へ支援アドバイザーとして職員を派遣しているとのこと。
支援アドバイザーは、これまで県立図書館から最も近い宮崎市立大宮中学校に出向き、どのような本をそろえたらいいかなど運営ノウハウを提供しているという。

博物館はさておき、公共図書館が学校支援を行うことは、決して悪い話ではない。歓迎されて然るべき話なのだが、この記事を読んで素直に良かったと喜べないのは、記事に書かれている程度のサービスは、県立図書館がやるべき仕事なのかと疑問に思うからだ。

本来、学校支援は、市町村立図書館の果たすべき役割の一つであり、その市町村立図書館を支援するのが県立図書館の役割である。
県内に一つしかない県立図書館が、小中高校の全てに対して、緊密で細やかなサービスが提供できるとは思えない。

県立図書館が役に立つ場面は決して少なくないと思うが、教職員や生徒達の日々の利用を考える時、まずは学校の近くにある市町村立図書館が支援の手をさしのべるべきであり、身近にあるからこそ効率的なサービスが提供できる。

残念ながら宮崎では、市町村立図書館の設置率が低く、サービス密度が薄く、職員の専門性も十分に確保されていないため、学校図書館への支援は十分でない。
それどころか、学校図書館の施設・職員も十分ではないため、学校という場を通して、子ども達に図書館のサービスを提供する機会は、まだまだ少ないのが現状だ。

県立図書館に期待されるのは、独立した一つの図書館としてのサービスだけではなく、県内の図書館サービスに関する総合的な計画づくりや、図書館サービスを担う人づくりなのだが、記事はそういうことに触れることもなく、表面的なサービスの紹介に終わっている。残念。

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