通勤のために、九段下から新宿まで都営新宿線に乗っている。往路の電車はだいたいが笹塚行きである。
笹塚、まだ行ったことのない駅名ではあるが、何故か馴染みが深いのは、本の雑誌社がある土地だからである。
途中、途切れ途切れになったこともあるが、もう20年以上も「本の雑誌」を購読している。今は同社の顧問に退いて笹塚から離れてしまったが、長く同誌の発行人を務めた目黒孝二の「笹塚日記」は、好きな連載の一つだった。だから、笹塚の駅前から本の雑誌社に至る道程は、なんとなく想像できるまでになっている。
その「本の雑誌」を、笹塚に向かう都営新宿線の車中で読んでいる。読みながら、このまま職場のある新宿を乗り過ごして笹塚まで行ってしまったら面白いかなと思ったりもする。
残念ながら、仕事をさぼって笹塚に向かうだけの若さや熱情というものをを失いかけているのか、結局は踏み切れないままに一つ手前の新宿三丁目で下車してしまうことが多いのだが、この新宿三丁目で意外な発見があったことは、また今度。