地域の記憶を共有する

 12月11日(土)付けの日本経済新聞文化面(36面)に、「図書館と市民が連携して古い写真をアーカイブズ(記録資料)化し、地域の記憶として構成に残す活動が各地で動き出した。」ことを紹介する記事掲載。
 紹介されているのは、新潟県十日町と大阪府豊中市・箕面市の事例。

 十日町の図書館である「十日町情報館」では、2年前に地元で3代100年に渡って写真館を経営してきた個人から48,000枚に及ぶ写真の寄託を受けて収蔵室を整備し、写真原板の収納とデジタル化作業を行っている。
 この作業には、約40名の市民によって編成された古文書整理ボランティア写真整理チームがあたり、撮られた場所や撮影年月日、撮影された対象物の情報を整理し、データ化しているとのこと。
 その成果の一部は、2010年10月30日(土)~11月5日(金)に「よみがえる懐かしきくらし-明治・大正・昭和の十日町」と題して情報館のロビーで展示され、更なる情報の収集も図られたらしい。

 この件、十日町情報館のサイトには情報が無くて、デジタル化された写真も公開されていないみたい。
 この件で参考にした追加情報はこちら

 もう一つの、豊中市と箕面市の図書館が連携して運営を行っている「北摂アーカイブス」は、家庭などに眠っている古写真の提供を受けデジタル化して、地域の記録としてネットで公開している。現時点で公開されている写真は140点ほどらしいので、まだまだ多くはないが、事業はまだ始まったばかり(サイト公開は2010年3月)なので、これから次第に充実していくのであろう。

 こちらも、写真を整理してデータベース化するのに活躍するのが、「地域フォトエディター」と称するボランティアとのこと。サイトを見てみたら、昔の写真と同じアングルでフォトエディターが撮影して、「いま・むかし」として並べて比較しているものもあった。

 写真が記憶を固定するものだとすれば、こういう形で地域の記憶を共有化することは、地域を再発見し、新しいものを生み出す原動力にもなるだろう。まさに温故知新、面白い取り組みだと思う。
 そして、こうした取り組みを統べるのが、地域の情報センターである図書館であるというのもまた良い。
 まあ、博物館であっても郷土資料館であっても良いのだが、図書館人としては、ここはやはり図書館であって欲しい。

 私も以前、「みやざきの自然」という、1989年刊行で20号続いた類い希な自然誌をデジタル・アーカイブしてWebで公開するプロジェクトにボランタリーに携わったが、図書館が核となって、地域に眠る文化的な遺産をアーカイブしていく取り組み、今後も増えていくのではないかと思う。

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