本日(2018.9.27)付け宮崎日日新聞の文化面(19面)に、「県立図書館新館建設30周年 知的インフラ拠点担う」と題して、宮崎大学地域資源創世学部の根岸裕孝教授のインタビュー記事(聞き手・杉田亨一)が掲載されています。
宮崎県立図書館は、1902(明治35)年の設立で、4代目となる現館は、1988(昭和63)年5月23日に開館し、30周年を迎えました。
根岸教授は、宮崎県立図書館の図書館協議会の議長で、2017(平成29)年度に策定された「宮崎県立図書館ビジョン」の検討のための懇談会の座長も務められており、最近の宮崎県立図書館の運営を割と細かに見てこられています。
記事では、冒頭で2014年度の資料費大幅カット(前年度比33.3%減)問題に触れ、根岸教授は、
「この問題を機に、県立図書館が担っている使命や役割は何なのか-という議論が起きた。議論が進むにつれ、県立図書館の『知的インフラ』としての基盤が弱くなると、県全体に大きな影響がもたらされるという危機感が生まれていった」
と、当時を振り返っています。
また、県立図書館の果たすべき役割として。
「県立には市町村立の図書館を支え役割がある。市町村立では持てないような専門書などを収蔵し、貸し出すことで支援していく。また、県が専門的人材をしっかりと配置していくことが重要。司書をはじめ県の専門的な人材が運営などについて市町村立に助言していくことで各館の機能はたかまっていく」
とし、更に、
「学校図書館の支援は県立図書館ビジョンにも盛り込まれた。具体的なノウハウの確立はこれからだが、今後進んでいくと思う」
とも述べられています。
しかし、専門的人材の配置については、
「県内は市町村の財政が年々悪化し、市町村立の指定管理化が進んでいる現状がある。ひいては専門的な人材の配置が難しくなる中で、県が専門性を持った人材を配置・育成し、市町村を支援していく役割は大きくなっている。」
とする一方で。
「協議会などを通じて県に対応を求めたが、一つの妥協点として、県立図書館に異動してくる県職員に館で長く勤務してもらい、専門性を高めてもらうというところで落ち着いた。ただ、専門的人材の重要性については、今後も利用者の立場から言い続けていかないといけない」
と、その実現の困難さにも触れています。
また、都城市立図書館や延岡市の「エンクロス」など、最近オープンして人気を博している動きに対し、
「誰もが気軽に出入りでき、知的な本や雰囲気に触れたり、いろんな人と交流ができたるする場が求められるようになってきているからではないか。知的な刺激を受けることで新しいアイディアや価値が生まれ、ネットワークもつくられる場は、地域づくりにとっても重要」
とした上で、
「今、図書館という知的インフラの大切さに多くの県民が気付き始めている。県内の図書館ネットワークの中核として、県立はリーダーシップを発揮していってほしい」
と今後への期待を語って、記事は締めくくられています。
図書館の機能への理解、専門人材の重要性にしっかり触れられている点で良記事と言え、さすがは根岸先生という感があります。
私も、数少ない司書資格保有者として、お声がかかれば、しっかりサポートしたいなと常々考えてはいるのですが。