今年最初に観た映画は、「最後の忠臣蔵」。
この時期にシネマイクスピアリで上映されている洋画がいまいちな中、到着するまで宮崎出身の堺雅人が出ている「武士の家計簿」とどっちにするか悩んでいたのだが、着いた時間と上映開始のタイミングの合った「最後の忠臣蔵」」に決定。
最初はさほど期待していなかったのだが、これが思いの外に良かった。
最近、年とともに緩みやすくなっている涙腺が、前半から半開きになるストーリー展開で、畳み掛けるような後半は、涙腺全開でハンカチ握りしめていた。
12月18日初日で公開から時間が経っててお客さんが少なくて、周りに人がいなかったので、滂沱の涙に気づかれずに済んだけど。
人形浄瑠璃の「曽根崎心中」を狂言回し風に使って死を暗示させる中で、古き良き日本の文化や様式美を背景に、愛とは、忠義とは、武士の生き様とは果たして何なのかを、役所広司、佐藤浩市を始めとする豪華で芸達者な役者陣と、衣装、美術、照明、カメラワークなどいずれも見事なスタッフ陣が、描き出している。
これを制作したのが、あのワーナー・ブラザースという所にも驚かされる。
主役の瀬尾孫左衛門を演じる役所広司と、孫左衛門の盟友・寺坂吉右衛門を演じる佐藤浩市の演技はもちろんだが、大石内蔵助役の片岡仁左衛門の存在感も凄いし、何より可音役の桜庭ななみの凛とした清楚な美しさがまたいい。
彼女の存在感があってこそ、役所広司の演じる孫左の照れやとまどい、葛藤が生きてくる。
そして、これだけの感動を生むのは、脚本の良さなのだろう。忠義に殉じた赤穂四十七士の討ち入りの重みを、残された者達の16年後の生き様を描くことによって感じさせてくれる。
2011年の最初の1本として、実に素晴らしい映画を見せてもらった。