ラーニング・コモンズ

 先週のことになるが、10月1日(月)付け日本経済新聞の文化面に「議論しやすく図書館進化」という見出しの記事掲載。
 何かと思って読んだら、最近の大学図書館の多機能化の話だった。

 ここでのキーワードは、「ラーニング・コモンズ」。
 恥ずかしながら大学図書館は興味の範疇外だったので、これまで大学図書館関係の話題は全くと言って良いほどフォローしてなくて、この言葉も殆ど初見に近いものだった。
 なので、少し調べてみた。よくわからない人は、次の2つのPDFファイルを読めば、なんとなくその概要がつかめるだろう。
 ・わが国の大学図書館におけるラーニング・コモンズの事例研究
・ Guideline November 2009「教育改革ing 大学図書館」

 従来の図書館が持っていた機能をもう少し広げて、ICT機器の整備や共同学習スペース、カフェテリアなどのファシリティを充実させるとともに、学習支援のためのスタッフを揃えて、学生がよりダイナミックに学び、交流し活動する場と捉えて良いだろう。

 日経の記事は、9月22日に仮オープンした立教大学の図書館や5月に和泉キャンパスにオープンした明治大学の図書館などの様子を伝え、
「ラーニング・コモンズは2009年ごろから大阪大、名古屋大、上智大などに登場」
したことや、こうした動きは今後も続き、東京大学の本郷キャンパスや立命館大学衣笠キャンパスで整備が計画されていることを伝えている。
 そして、
「背景にあるのは、受け身になりがちな講義形式からグループ討議や発表など学生が主体的に学ぶ授業に転換しようとする大学改革の動きだ。」
とし、
「授業外の学生の学習時間が短く、大学生に勉強させることが課題になる中、キャンパスの耐震改修などとのタイミングが合ったこともあって、建設・改修ラッシュにつながっているという。」
とまとめている。

 こうした動きは、公立図書館とも無縁ではなく、ラーニング・コモンズ的な発想を施設や態勢の整備に活かすような図書館が、これからの新しい方向性として出てくるに違いない(もう出てきているのか?)。

 なお、記事には別囲みで「地域連携にも貢献」と題して、サービスを学外に解放する大学図書館の例として、小中学生が様々な科学実験などを体験できる葛飾区の「科学技術センター」を併設する方向で整備が進んでいる東京理科大の新キャンパス図書館棟や地域住民が休憩や文化イベントなどに参加できる交流スペースを図書館の入口前に設置する予定の新潟大学が紹介されている。

 文部科学省によれば、「図書館を学外に開放している大学は(全体の)9割以上にのぼる。」とのこと。

 ちなみに宮崎県内には下記のとおり8つの大学・高専図書館がある(順不同)。

 このうち、九州保健福祉大学附属図書館以外は、全て一般(学外)向けに貸し出し等の直接サービスを行っている(九州保健福祉大学のみ、宮崎県立図書館を通した相互貸借の範囲で貸し出し可能)。

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