宮崎県立図書館の見果てぬ夢

宮崎県の生涯学習課が、10年後を見据えた県立図書館のあるべき姿について、県内の様々な立場の人にヒアリングを行い、その結果をWebサイトで公表しています。

「県立図書館についてのヒアリング」

これまで、5人の方々のインタビュー内容が公開されていますが、これを読むと、それぞれ納得のできるご意見ばかりです。

もちろん、生涯学習課も人選には配慮をしていて、それなりに図書館についての見識のある方を選んでいるのだろうと思いますので、当たり前と言えば当たり前なのですが、一方で、この時代にまだこんな意見が出るものなのか、という思いもあったりします。

日本の公共図書館が今のようなサービス形態になったのは、1970年以降と言ってもいいだろうと思いますが、宮崎県立図書館が一番輝いていたのは、それより前、1947(昭和22)年から1957(昭和32)年にかけての中村地平館長の時代。
当時を知る南邦和さんのお話の中にも、その時代のことが出てきます。

当時、先端を走っていた県立図書館のサービスは、60年経って、ここまで様々な注文が出るほどに落ちている訳です。
できていなければならないこと、他の県立図書館では当たり前のようにできていることも、提言の中には数々見られます。
こうして、図書館の外からの意見を聞かなければ10年先の図書館像が見えないほどに、図書館が図書館のことをわからなくなっているのだなと、ちょっと暗澹たる気持ちになりました。

せめてもの救いは、生涯学習課がこういう形で顕在化させてくれていることでしょうか。おそらく、県立図書館の現状と課題を理解している人がいて、外からでも変えなければと思っているのでしょう。

しかし、課題が明らかになって終わりではなく、そこがスタートで、10年後に向けて、それをどのように解決して行くかが問われているわけです。

鍵は、かつての中村地平がそうであったように、強烈なリーダーを起用できるかどうかにかかっていると思います。
たとえそれが見果てぬ夢であったとしても、希望は持ち続けたいです。

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