浦安に帰るために乗った飛行機の機中で一気読みしたサカキシンイチロウ著『博多うどんはなぜ関門海峡を越えなかったのか』(ぴあ株式会社)
ほぼ日刊イトイ新聞で毎週木曜日に「おいしい店とのつきあい方」を連載している外食産業コンサルタントのサカキさんが、柔らかい麺が特徴の博多うどんの名店を訪ね歩き、その魅力を伝えつつ、うどん店のビジネスモデルについて解き明かした好著です。
うどん店との対比でラーメン屋で一番コストがかかっているのはスープで、ラーメン屋で
「炭水化物だけ食べてスープを残すのは、おいしいものを知らない人のすること」
とか、
「硬くなくては麺にあらず…って、それ本当?」
といった記述は、麺は麺として美味しく食べたい、スープは残さず飲むべしと思っている私にとって、我が意を得たりという感じで嬉しくなりました。
本書の後半で、東京に博多うどんの店を出店することを想定したシミュレーションで、簡単ではありますが、きっちりと収支計算が行われるあたり、さすがに外食コンサルタントの面目躍如。
いちいち納得できることばかり。
宮崎のうどんも博多うどんと同様に、ふわやわの麺が特徴。
出汁のひき方に違いはありますが、地域に根ざす文化、ビジネスモデルとしてはほぼ同じだと考えられます。
「おわりに」で著者はこう書きます。
「 この旅で、地方のおいしいものが食べたい、世界のおいしいものが食べたいと、それをワザワザ東京に呼びつけるようなことは不遜だと私は思うようになりました。
行けばいいのですから。来ないのならば、行けばいいのです。」
そう、数ある宮崎グルメを宮崎まで食べに来て欲しい。
宮崎うどんもそのモチベーションの一つになって欲しい。
実は宮崎も、「うどん県」なのですから。