『ソウルタウン』

 今回の通勤電車内読書は、前回の続きで、メルセデス・ランバート著「ソウルタウン」(ハヤカワ・ミステリ文庫)

 駆け出しの若き女性弁護士ホイットニー・ローガンが主人公のシリーズ2作目で、前作の終わりから1年余り後の物語。
 前作の直後にホイットニーの前から姿を消し、売春の罪で収監され釈放されたループを迎えに行き、そのままループの兄と韓国人のガールフレンドに連れて行かれた彼女の子どもを追ってコリアタウンにやってきた二人は、目の前で覆面姿の男が韓国人の老女を殺害する場面を目撃する。
 成り行きで犯人探しを引き受けることになるが、ホイットニー自身も自宅近くで男に襲われ、自身とループのみを守るために犯人探しに奔走することになる。

 今回は、ループがホイットニーの秘書としての役割で、引き続き凸凹コンビを組むことになるのだが、前作同様にギクシャクとした関係ながらも妙にうまく噛み合って犯人探しが進んでいく。

 前作と違うのは、ホイットニーがループを守れる人間になろうとジムで身体を鍛え、銃を撃てるようになり、テコンドーもマスターして韓国人の師を持っていること。
 本作では、コリアタウンが舞台で、在米韓国人の「恨(ハン)」の感情も底流に流れているので、この設定がいろいろと効いてくる。

 また、ループと噛み合わない理由が、ホイットニー自身の恵まれない家庭環境にあったことなども所々に顔を出して、人物造形にふくらみを与えている。

 終盤、犯人の姿が明らかになる過程で、その動機がいまいち腑に落ちかねるところはあるが、全体としてはまあうまくまとまっていると言えよう。☆☆☆。

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