今回の通勤電車内読書は、川西蘭著「セカンドウィンド 3」(小学館)。シリーズ3作目だが、いつの間にか出版元がジャイブのピュアフル文庫から小学館に変わっている。何かあったのかな?。
それはさておき、主人公の溝口洋は高校3年生になって、南雲学院高校自転車部のキャプテンになっている。第2巻から1年が経った設定だ。キャプテンとしてチームをまとめていく苦労、才能に限りはあるが自転車が好きな新入生との距離感などいろいろなことに悩みながらも、成長していく姿がそこにある。
チームメイトの田村岳や清水元はもとより、ライバル校の峰岸歩夢、故郷鳴滝村の後輩吉野葵など、新たなライバルも登場し、レースシーンはますます面白くなる。
青春小説らしく、淡い恋の物語もあるが、何よりも、洋自身が競技者としてそれまで自分を縛っていたリミッターを外し、全日本ジュニアという大きな大会で優勝することによって、一回り大きく成長する。
まだその才能が完全に開花するところまでは行っていないようだが、今後更に着実にステップを上がって行くであろうことを予感させる展開になっている。
物語の最後で、洋の最大のライバルであり友人でもある岳は、高校を卒業せぬままヨーロッパに渡ってロードレースのプロになる決意を表明する。洋もまた同じ道を歩むであろうことは想像に難くない。
おそらく次回作は、舞台をヨーロッパに移し、本格的なプロのロードレースの世界の中で戦う岳や洋、そして新たな強力なライバル達の姿が描かれるに違いない。早く、そんな洋達の姿を読みたいものだ。