悪人

 休みの金曜日、久しぶりに映画を観に行く時間が取れたので、シネマイクスピアリで上映中の映画の中から選んだのが、李相日監督、妻夫木聡・深津絵里主演の「悪人」。

 ひとつの殺人とそれに関わる人々を描くストーリーだが、本当の悪とは何なのか、そして愛とは何なのかを深く考えさせる映画である。様々な悪のあり方と様々な愛のあり方が描かれている。
 結果的には殺人という大罪を犯してしまった主人公だが、そこに至るまでとその後の感情の起伏を、妻夫木聡が一見地味にも見える抑えた演技で見事に表現している。
 それにも増して、深津絵里が非常にいい。愛を求め、やっと巡り会った愛を必死に守ろうとする幸薄げな女性を好演している。
 そして、脇を固める芸達者なベテラン俳優達。ストーリーの中で、人それぞれに生活や生き方、感情があるのだということを感じさせてくれる。特に、バスの運転手の一言が一気に涙腺を緩める。涙を見られたくないなら、一人で行くべき映画。私は基本的に映画には一人でしか行かないけど。
 今年観た邦画の中ではベストを付けたい。それほど満足できた映画だった。

Translate »