図書館屋を標榜する者として見逃せない映画『図書館戦争』を、日曜日のレイトショーで観てきた。
原作を読んだのが2006年の夏、その時の感想がこれ。もう7年も経つのですね(遠い目)。
原作は、図書館屋としては鮮烈な作品だった。図書館員としては常識だけど、一般にはあまり知られてはいない「図書館の自由に関する宣言」をモチーフに、ラブコメと自由を守るための戦いを縦横に紡ぐその着想が何よりも見事。
荒唐無稽ではあるけど、読書の自由とは何か、図書館とはどういう存在なのかをきちんとおさえていた。
単なる荒唐無稽な作品とは一線を画し、図書館や読書、検閲に対するしっかりとした姿勢があったからこそ多くの読者を魅了し、この後、図書館戦争シリーズは本編が4作まで書き継がれ、スピンアウト作品も生まれた。
著者・有川浩がブレイクするきっかけとなったのがこの作品であることは間違いないし、その後の有川浩の活躍ぶりは言うまでもない。多くの作品が映画やテレビドラマの原作として使われている。
そこで、この映画である。
原作の世界観を見事に映像化していると言って良いだろう。
ヒロイン榮倉奈々の笠原郁っぷり、なかなかはまっている。岡田准一の堂上教官もいい。元々岡田君は格闘技の素養があってアクションシーンも上手いし。他の登場人物達も、それぞれの役者さんが良い味出している。
自衛隊全面協力の訓練シーンや戦闘シーンも原作の映像化に貢献している。さすがに戦闘シーンはちょっとやり過ぎ感もあってリアルさには欠けるけども、それはそれ、SF的な要素だし、少々のことには目をつむる。
しかし、やはり何よりいいなと思うのは、図書館のシーン。ロケは北九州市立図書館で行われているのだが、知識の宝庫としての重層感とか、よく出ている。実際の使い勝手とか蔵書構成とかは知らないけど、行ってみたい図書館だな。
そして、高らかに掲げられた「図書館の自由に関する宣言」。あのシーンで涙ぐみそうになるのは、図書館屋の性かな。
やっぱり図書館ていいな。もう一度図書館の現場で働いてみたい。そんなことを思わせてくれた映画でした。
できることなら、この後に続く『図書館内乱』、『図書館危機』、『図書館革命』までシリーズ化して映画化して欲しいと思った次第です!。