通勤前に浦安市立図書館本館で借りて、通勤電車の中で読んだ、ニール・オルスン著「奇跡の聖母」(扶桑社ミステリー)。
ギリシャの田舎町で1944年、戦乱の中で失われたギリシャ正教会のイコン(聖母画)と、それに魅入られた男達の60年後の現代まで続く追跡と争奪の物語。
過去(ギリシャ)と現在(NY)が交互に語られることで、イコンの持つ力ととそれが表舞台から消えることになった秘密が徐々に明かされていく。
ギリシャの現代史とか宗教文化とかはよく知らない分野なので、そういう部分も含めて面白かった。派手ではないが、落ち着いたミステリーである。総合で★★★1/2。
ただ、訳者(女性)がアクション系に弱いのか、終盤の銃を扱う場面で「装弾子」なんて訳語が出てくるのがちょっと気になった。揚げ足取りみたいで申し訳ないが、普通なら「マガジン」とか「弾倉」とか訳すんじゃないかな。元の単語が気になるところではある。