今回の通勤電車内読書は、ちょっと前に予告した川西蘭著「セカンドウィンド〈1〉」 (ピュアフル文庫)。
ピュアフル文庫であることからわかるように、図書館ではYA(ヤングアダルト)に区分される青春スポーツ小説である。青春スポーツ小説というのは、単に少年や少女達がスポーツに取り組む姿を描いているということだけではなく、主人公(及びその周囲の人物達)の成長箪でもなければならない。そしてそれは、森絵都の「DIVE!!」やあさのあつこの「バッテリー」がそうであったように、若い世代向けに書かれていながらも、大人達でも十分に楽しめる傑作が多い。
本書の主人公・溝口洋は、父を亡くし、祖父と二人で山の中の一軒家に住む中学3年生。村役場主催の競売で手に入れたフラットハンドルの軽量スポーツ自転車で一人山岳サイクリングコースを走るのを楽しむクールな少年である。
そんな彼が、峠道で本格的なロードバイクに乗る同世代の少年達と出会い、競技としてのロードレースの世界に足を踏み入れて行く。
地元の実業団自転車チームのジュニアクラブの練習に参加することになる第一部と、そこを訳あって離れた主人公が、新たな自転車友達・田村岳と知り合ってヒルクライムの訓練を続け、ロードレース大会に参加するようになるまでの第二部で構成されているが、将来チームメイトでありライバルになるのであろう個性豊かな少年達の姿が活写されている。15歳前後でなんとも大人びた、と思える言動をみんなするのだよ。
物語はまだ始まったばかり、早く次を読みたいと思わせ、洋と岳の出場したレースの結果はどうなるのか、ジュニアクラブに所属するライバル真一、昇、元らと洋の関係はどうなっていくのか気になって仕方ない。
第2巻は、浦安市立図書館では貸し出し中のため、予約済み。総合評価は、全部を読み終わったからにするが、早くも傑作の予感。