前回のブログ更新からかなり間が空いてしまったが、3月11日の大震災とそれに続く浦安の混乱、その間に引っ越しと慌ただしく日々が過ぎて行って、ブログどころではなかった。
浦安も被災地で、液状化による停電、断水など大きな被害が出ているので、本来ならそういうことをブログに書いておくべきだったのかもしれないが、個人的には先日まで住んでいた所は浦安の中でも殆どと言って良いくらい被害が無かったエリアだったし、多少の不便など、連日報道される東北地方の悲惨さや浦安の本当の被災地の状況に比べれば屁でもないほどだったので、その都度Twitterに書き込む以外にブログにまとめようとする気も起きなかった。
さて、今回の通勤電車内読書は、震災の前日に浦安市立図書館中央館で借りていた、
メルセデス・ランバート著「ゴーストタウン」(ハヤカワ・ミステリ文庫)。
女性弁護士ホイットニー・シリーズの3作目にして最終作であり、著者メルセデス・ランバートの遺作でもある。
前2作「ドッグタウン」、「ソウルタウン」同様、弁護士のホイットニーがふとした弾みで殺人事件に出会い、秘書役の元売春婦ループとともに犯人探しに奔走しつつ、深みにはまって行く。
アメリカにおけるマイノリティ・コミュニティの姿を描くのが本シリーズのひとつの特徴で、「ドッグタウン」ではラテン系、「ソウルタウン」では韓国系コミュニティが描かれていたが、本作ではアメリカ・インディアン(本作では「ネイティブ・アメリカン」ではなく、あえて「アメリカ・インディアン」の呼称を用いている)のコミュニティが描かれる。
パターンとしては前2作を踏襲しているが、インディアンのコミュニティがテーマだけあって呪術的な要素が展開を彩り、終盤に真犯人が明かされて以降の展開は、ミステリの本道からはちょっと離れてしまって、この世と死後の世界を繋ぐファンタジー的なエンディングを迎えることになる。
この展開については、おそらく賛否両論あるだろうと思うが、ミステリファンの私としては、ちょっといただけないエンディングだった。よって、総評は☆☆1/2。
しかし、著者のランバートが病を抱え忍び寄る死の影を感じていたとすれば、あながちわからない訳でもない。