図書館のモノづくり支援について考える

 本日付け日刊工業新聞の東日本面(22面)に、「親子でモノづくり ピンホールカメラ制作教室」と題して、東京・板橋区立高島平図書館に関する記事掲載。

 同館は、板橋区内の企業と協力してモノづくり教室事業を始め、その第一弾としてピンホールカメラ制作教室を開催したとのこと。
 金属精密加工のアーウ精機製作所の協力を受け、同社の取引先でピンホールカメラを製造するシャラン(栃木県壬生町)の大橋裕社長を講師に迎えて、親子ら49人が参加したとのこと。

 記事によれば、同図書館は区内企業の認知度向上を狙って情報コーナーを館内に設置しており、同コーナーで紹介している関係で、アーウ精機の平林大始常務が協力したとのこと。
 「今後も区内企業の人材を活用した教室を企画していきたい」という佐藤館長の談話も掲載されている。

 ちょっとした取り組みだけど、なかなか良い企画だと思う。
 自らの手でモノづくりして、作ったピンホールカメラで実際に撮影してプリントまでするのだから、夏休み中の子ども達にとっては、格好の自由研究のテーマにもなるしね。
 これで光と影の世界とそれをつかまえる技術に興味を覚えて、将来優秀な技術者や芸術家に育つ子どもが出てこないとも限らない。

 図書館でのイベントというと、映写会だったり講演会だったり、どうしても文化的なものに偏りがちだが、図書館がその地域の情報センターとして機能するためには、その地域に根付く産業もまた重要なコンテンツのひとつとして考えるべきだと思うので、そういう部分に目配りできる図書館(とそこで働く職員)というのは素晴らしいと思う。

 地域の中小企業にとっても、普段はあまりその存在を地域の人々に意識されることがなく、求人出してもなかなか優秀な人材を集めるのに苦労しているところも多いので、こういう機会に自らの製品や技術をアピールできるというのは得難い経験でもあるし、その積み重ねがいつの日か企業のメリットとなることもあるだろう。

 かつて、宮崎県内の手工芸が盛んな町の図書館建設について相談を受けた時に、折角だから町内で作られる工芸品を図書館の調度やサインなどに取り込めないかというアドバイスをしたことがあった。
 その時は残念ながら実現には至らなかったが、地元の様々なリソースを常に見つめ直し、自らの中に取り込んでいくことが、住民サービスの第一線に立つ図書館には求められている。

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