昨夜に続き、ジェイムズ・カルロス・ブレイクの紹介だ。これでJ・C・ブレイク三連荘。浦安市立図書館で予約してまで読んだ「無頼の掟」(文春文庫)。
主人公はライオネル・スーミス・ラサル(通称:ソニー)で、彼が1920年代末のルイジアナを舞台に、双子の叔父バックとラッセル、彼らのガールフレンドとともに強盗団を組織し、襲い、捕らえられ、脱獄し、また襲う日々を、ブレイク持ち前のクールな筆致で描いている。
いつもながら(と言っても本作で3作しか読んでいないが)、骨太なプロット、登場人物達の造形は見事であり、時代や土地の雰囲気をもよく活写している。男達だけでなく、ソニーのファム・ファタル、ベルを初めとする女達もまた魅力的である。
そして、ソニー達の活劇と平行して語られる、ソニーを殺された息子の敵として追う無頼の暴力警官ボーンズの非情で冷血な挿話もまたゾクゾクとさせられる。
本書は、ブレイクの第六長編だが、邦訳としては第一作となる。いきなりすごい作品で日本デビューしたものだ。2005年の日本冒険小説協会大賞(海外部門)を受賞したのもむべなるかな。☆☆☆☆1/2。
余談だが、「荒ぶる血」にも登場するマセオ兄弟が本書にもちらりと登場する。彼らを主人公とする著作をいずれ読むことができるのかもしれない。