『天外消失』

『天外消失』書影

 今回の通勤電車内読書は、「天外消失」(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819)
 『本の雑誌』2010.9月号の特集「たちあがれ、翻訳ミステリー」の中の「初心者におすすめの30冊」に入っていって未読だったので、浦安市立図書館で借りて読んだ。

 『本の雑誌』では、クラッシックの短編集で、「いま読んでも面白い」という触れ込みで、ディーヴァーの短編集『クリスマス・プレゼント』の次に紹介されていて、『クリスマス・プレゼント』は確かによくできた短編だったから本書も期待してたんだけど、個人的には文体にしろトリックにしろ情景にしろ、ちょっと古すぎて、いまいち楽しめなかった。
 古典を読むにはちょっと年取りすぎているのかな。エドガー・ライス・バロウズのターザンなんて、35年ぶりくらいに読んだよ。ジョルジュ・シムノンのメグレ警部だって同じくらい。それに、バロウズってミステリ?、SFの人じゃなかったっけ?。確かにターザン・シリーズはあんまりSFっぽくはないけど。

 まあ、そんな細かいことを今さら言っても仕方ない。元々は早川書房から出ていた世界ミステリ全集の18巻目に『37の短編』(石川喬司編)という短編集があって、本書はそこから他の短編集などに拾われていない14編を選んで復活させたものらしい。
 確かに、短編だから手軽に読めるし、14編がそれぞれにバラエティ豊かで、今でも通用するトリックはあるし、少々のことに目をつぶれば、入門編としては良いのかもしれないな。

 でも、個人的な評価としては、☆☆。もっと濃密で長い作品を愛してしまっているから。

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